授業は睡眠時間 ページ12
・クラスメイト
「ここの数式を当てはめるとー…」
窓際の後ろから2番目。お昼頃になると暖かな日差しが私を眠りへと誘う。おまけに退屈な数学の時間だ。先生の声をBGMにして、今日も眠りに落ちた。
体を誰かに優しく揺すられた。
「……ん……さ……ぎさん…」
「んぅ……?」
「桜木さん、授業もう終わったよ」
「ぁ……ありがと、竹早くん」
「どういたしまして」
前の席の竹早くん。
彼はいつも授業が終わると起こしてくれる。
前に1度、誰も起こされず、私は眠りこけたまま移動教室だった授業を2時間分丸々すっぽかすということが起きたからだ。
「今日もありがとう、飴ちゃん食べる?」
「貰おうかな」
「何味がいい?」
「ハッカ」
「無いよ」
冗談、と言ってははっと笑う姿はそこらの女子より絵になっている。
「イチゴでいい?」
「うん、ありがとう」
竹早くんと同じ飴をコロンと口の中へ放る。
天下のサクマさんのいちごみるくだ。
「んーやっぱりミルフィーユは素晴らしいな」
「これ昔から人気なやつだよね、僕もよく食べてたな」
「そうなの?」
「うん、今はあんまり飴って食べてないけど。美味しい」
ころころと飴玉を口内で転がす音が聞こえて竹早くんを見た。
窓から吹き込む気持ちの良い風で靡く竹早くんの髪と、何やら気分が良さそうに外を見る竹早くん。
私は睡眠欲8割食欲2割の人間だから恋愛なんて興味はないが、これは美の暴力だと思った。
「……竹早くんモテるでしょ」
「突然だな、別にモテたりなんてしてないよ。彼女絶賛募集中さ」
「候補に名乗り出る子多そう」
「はは、そうだったら光栄だな」
「……次の授業は…?」
「今日はもう終わりだよ、ほら、教室にもう誰もいない。気づかなかった?」
そう言われ確かに静かだと周りを見渡すと私と竹早くん以外は誰もいない。
「え、なんで竹早くんいるの?」
「さぁ、なんでだろうね」
クスっと笑って竹早くんは席を立ち上がると、私に手を差し伸べた。
「僕、今日部活がないからあとは帰るだけなんだ。だから、良かったら一緒に帰りませんか?」
「え、あ………うん」
突然なんだと思いながら手を握り返し立ち上がる。
握った暖かい手に胸がキュン。としたのは多分気の所為だろう。
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ツルネ良いですよね…作者まだ2期見てないです…見出すと止まらないと思って……。
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作者名:眼鏡かけ機 | 作成日時:2022年9月9日 14時