とてもじゃないけど、 (ページ8)

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ep.7 ページ8

「ヒッ！」

『大丈夫かサバカン！！』

「Aさん！！」

絶対安静、いや、安静にしてた。それまで1mm足りとも動かずやっともぎ取った退院。まだ完治なんかしてないけど、やられたままは性に合わない。先生に後でお世話になりますと伝えた時は流石に止められたけど、清史の根回しもあって強い痛み止めを打ってもらえた。くれぐれも死ぬ事がないよう、とだけ口約束を交わして見逃してもらった。そしてここが、やっと辿り着いた戦場の入り口だ。

「大丈夫なんですか！？」

『昨日の夜退院はしてる。傷はまだあるし体は痛いけど、今動ける人間は1人でもいた方がいいだろ？』

「だけど、こんなとこ小田島さんに見られたら…」

『だから静かに行こ！内緒だよサバカン。まあ俺も流石に強敵は相手にできないからさぁ、楓士雄たちが目的に着くまで少しでも雑魚を減らせればって感じ』

「……オラァ！行くぞお前ら！Aさんに続け！！」

よく見慣れたあるスキンヘッドを乗り越えては、カマ高なのかバラ商なのかわからないくらいごった返した人間を殴り続けていく。サバカンの音頭で集まって来た後方の鳳仙の人間も、俺が行く道を開けるように肩を組み合い人間を弾いた。

「Aさん！行ってください！道は俺たちが開けます！」

『ありがとうサバカン！みんなも！あ、頭気をつけなよ！』

面倒なくらい投げ入れられる瓶の破片浴びながら、敵陣地へと駒を進めた。ここからがようやく校舎内か。ここに来るまでに、随分とまあ可哀想な姿になってしまったな。

「どーも」

『うわぁ、まじか！氷室か…最悪』

「お前の大事なオトモダチは元気か？」

『さあね。そういや、楓士雄に負けたんだって？』

「あ？」

『どこ見てんだよ。ちゃんと狙えよ、ここ』

氷室は相変わらずメリケンサックを所持してるみたいだけど、道具を持とうがそれが使えなくなったしまえば意味がない。…というか、誰も俺が手ぶらで来たって言ってないよね。

「っ、まさか同じ手でくるとはな。はは、勝てばいいんだろ、勝てば」

氷室は確かに強い。俊敏さも器用さも持ち合わせたかなり厄介なやつだと思う。できれば手短に終わらせたいから、あんまり闘いたくない相手だけど…、

("鳳仙が援軍だ？あー、大丈夫だろ。あそこそんな強くねぇよ")

『俺に勝てなかったら、鳳仙を強くないって言ったこと撤回しろよ』

「別にいいけど、お前が負けたら靴でも舐めろよ」

分かった。死んで詫びろ。