ꄗ*ﾟ𓈒 𓏸 ページ35
スナフキンは胸がぎゅうと苦しくなるような感覚におそわれました。大事なことを忘れている、それは確かなのに、何を忘れたのかも分からなくなって……。
「＿＿」
フォルシがなにかを言っています。でも、なにを言っているのか分かりません。耳も、目も、もやもやとして、現実が遠のいていくような。スナフキンの瞳が焦点を失って。足の力が抜けて、風が強くなったように感じられて……。
「(まずい。倒れる……)」
スナフキンは顔を顰めました。少女の顔が良く見えません。この子だけでも逃がさないと。そう思うのに、身体が言うことを聞かないのでした。
「(あぁ、思考が……まとまらない)」
＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿
＿＿
「ん！！！！！！！」
パチン！と乾いた音と鈴が割れるような声がスナフキンの耳を叩きました。一瞬視界が揺れて、それから、曇っていたはずの少女の顔の輪郭が鮮明になりました。
怒った顔をした少女は、まるで喝を入れるかのようにもう一度「んん！！」と唸りました。
風の音、両頬の痛み、射抜かれそうなほど力強い緑の瞳。
足に力が戻るのと同時に、スナフキンはどうしようもなく、どうしようもなく……心が揺れました。
「……、り、たい……」
あぁ、出会った時からそうなのです。
この少女には、誰にも見せないような弱々しい部分ばかりを。
「帰りたい＿＿」
スナフキンは少女の目を捉え、言いました。その瞳に言わされているような気さえしました。鼻がツンと痛いのはいつぶりだろう、とスナフキンは頭の奥底で思いました。
少女はスナフキンの両手を握って踊るように1歩踏み出しました。
「かえ、ろう」
その顔には、柔らかな……暖かな笑顔が浮かんでいました。ゆるんだ瞳を見て、スナフキンはどこか懐かしい深い緑の谷を思い出していました。
少女が駆け、スナフキンの手を離します。なぜ、と問おうとしたスナフキンに、振り向いた少女が叫びました。
「すなふきん！」
ふわり。
壁の外に身を投げて。少女は笑顔で名前を。
フォルシの驚愕が滲む呼び声を無視して、スナフキンも駆け出しました。もう迷いはありませんでした。長く暗いトンネルの先に光を見つけたように。
「あぁ！」
遥か、遥か遠い地面に吸いこまれるように少女が落ちていく。小さく小さく、見えなくなりそうな白い光をスナフキンは追いました。
壁を強く蹴って、そらに。
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雪野(プロフ) - ありがとうございます！投稿したら報告しますので機会があれば見ていただけると嬉しいです(●´ϖ`●) (2月6日 17時) (
レス) @page2 id: bc308af5a3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名さん - (続き) 作者の名前とタイトルを記載していただければ、煮るなり焼くなりお好きになさってください。(僕も趣味の範疇&気の向いた時の更新ですので、雪野さんも描きたくなったらお好きなところだけ……が自然だと僕も思います！笑) (1月23日 2時) (レス) id: 3945cd8343 (このIDを非表示/違反報告)
匿名さん - 雪野さん» コメントありがとうございます！お返事が遅くなってしまって申し訳ありません。まだお気持ちに変わりなく、僕の拙い夢小説にそのような素敵なファンアートをつくってくださるのなら、僕はとても嬉しいです。 (1月23日 2時) (レス) id: 3945cd8343 (このIDを非表示/違反報告)
雪野(プロフ) - とっても好きすぎます… このストーリーを丸々そのまま漫画にしてpixivに上げたいのですが良いでしょうか？ 趣味の範疇なので途中までかもしれませんが... (1月12日 16時) (レス) id: bc308af5a3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名さん(プロフ) - marimo03250226さん» コメントありがとうございます！夢主だけじゃなく雰囲気もふわふわさせていけたらなと書いています(*´`*)笑 応援とっても嬉しいです！のんびりお付き合いくださると幸いです (11月28日 23時) (レス) id: 3945cd8343 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名さん(情緒不安定) | 作成日時：2023年1月30日 2時
