宝の箱の鍵探し ページ30
フォルシの姿が見えなくなると、繋がれていた熱がするりとほどかれました。横に目をやると、少し残念そうに少女が手を振ります。
「(そういえば、寝る場所は自分で探せと僕が言ったっけ)」
スナフキンはそんな風に得心し、そしてほんの少し右の手のひらが肌寒いように感じるのでした。
「明日、君はどうする？」
気がつけばそう問いかけていたスナフキンに、少女は自分と彼を交互に指さし、自身の両手を繋いでみせました。一緒に行くと、迷いなく伝えているのです。
頷いたスナフキンは微かに笑っていました。なんとなく、少女がどうするか分かっていたからです。
「朝になったらハーモニカを吹くよ。道に迷いそうになったらその音を頼りにテントまで来るといい」
「＿＿」
少女の身体が喜びでぴょこんと跳ねました。そしてその喜びをスナフキンに伝えるためなのか、半ば体当たりのようにハグをすると、その勢いのまま走り去っていきました。
スナフキンは暫く気圧されたようにぽかんとしていましたが、やがて帽子をぐっと目深に引っ張ると、小さく小さく呟きます。
「ほんとうに……早く話せるようになればいいんだけど」
帽子に隠しきれなかった耳がほんのり赤くなっているのを笑うように、冷たい風がびゅわりとスナフキンをくすぐりました。
翌朝。目を覚ましたスナフキンは約束通りハーモニカを吹きました。透明な音色はのびのびと響きわたり、森に朝を運ぶようでした。
やがてがさがさと足音が聞こえると、スナフキンの音色は少し楽しげに様子を変えました。
「＿＿」
「やあ、来たな」
想像通りの待ち人が姿を現し、スナフキンは演奏を止めました。今日は教えを守って獣道を通ってきた様子の真白い少女は、スナフキンの声がけににっこり笑顔をこぼしました。
「おはよう。テントを片付けるから少し待っていてくれるかい」
スナフキンは草を払って干しておいたテントを片付けようと立ち上がります。
「おは……よう」
……そうして刹那、鈴が転がるような声に度肝を抜かれました。
「君、今……」
目を丸くするスナフキンに、少女が照れたような素振りを見せました。
「言葉を覚えたのか？」
「ん……」
少女が喉を押さえて唸ります。完全というわけではないようですが、スナフキンは喜びと安心を覚えました。
何故って、言葉を持たないが故の身体を使ったまっすぐな感情表現に、もうふりまわされる必要がないということですからね。
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雪野(プロフ) - ありがとうございます！投稿したら報告しますので機会があれば見ていただけると嬉しいです(●´ϖ`●) (2月6日 17時) (
レス) @page2 id: bc308af5a3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名さん - (続き) 作者の名前とタイトルを記載していただければ、煮るなり焼くなりお好きになさってください。(僕も趣味の範疇&気の向いた時の更新ですので、雪野さんも描きたくなったらお好きなところだけ……が自然だと僕も思います！笑) (1月23日 2時) (レス) id: 3945cd8343 (このIDを非表示/違反報告)
匿名さん - 雪野さん» コメントありがとうございます！お返事が遅くなってしまって申し訳ありません。まだお気持ちに変わりなく、僕の拙い夢小説にそのような素敵なファンアートをつくってくださるのなら、僕はとても嬉しいです。 (1月23日 2時) (レス) id: 3945cd8343 (このIDを非表示/違反報告)
雪野(プロフ) - とっても好きすぎます… このストーリーを丸々そのまま漫画にしてpixivに上げたいのですが良いでしょうか？ 趣味の範疇なので途中までかもしれませんが... (1月12日 16時) (レス) id: bc308af5a3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名さん(プロフ) - marimo03250226さん» コメントありがとうございます！夢主だけじゃなく雰囲気もふわふわさせていけたらなと書いています(*´`*)笑 応援とっても嬉しいです！のんびりお付き合いくださると幸いです (11月28日 23時) (レス) id: 3945cd8343 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名さん(情緒不安定) | 作成日時：2023年1月30日 2時
