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「きれいだろ」
同じように黙って街を見下ろす少女とスナフキンに向け、フォルシが穏やかに声をかけました。声色には愛おしさがにじんでいます。
「きれいだ」
スナフキンの答えに、フォルシは嬉しそうに眼下の街を眺めました。
「なにがあっても、僕が死んだって、この国を守りたいんだ。ここだけが僕らのすべてだから」
「僕ら？」
「うん」
フォルシは多くを語りませんでした。
「…………」
スナフキンは反対側に目を向けました。地平線まで広がる草原と森が、真っ暗闇に沈んでいます。壁の内の明るさが外の暗闇をより濃く引き立てていて、それでもスナフキンは、その静けさに強く惹き付けられるのでした。
「そうだ、スナフキン。また明日も女王陛下にお話を聞かせてあげてくれないかな。今日、すごく嬉しそうになさってたから」
フォルシがちらりとスナフキンを見て言いました。スナフキンは目を伏せたまま答えました。
「いや、明日の朝に国を出るよ」
「え？」
心底驚いた声が夜闇にこぼれました。街を眺めていた少女がふとフォルシに目をやりました。
「この国が気に入らない？ スナフキンは……姿を変えないよね」
緑のぼうしが風にはためきます。
「僕はこの姿でいるのが自然なんだ。好きな時に旅に出ることもね」
「自然って、なに？」
「自分らしいということさ」
「自分らしくなんて怖いよ。あんまりにも無防備じゃないか」
弱々しく震えた声を聞いて、スナフキンは驚いたようにフォルシを見ました。フォルシは悲しそうに俯いていました。
「……ごめん。アンタを否定するつもりは無いし、僕らを否定してるわけじゃないのも分かってる」
「フォルシ……」
「あーあ、そう在れたらなあ。ありのままの僕らが許されるなら、そうだったなら……」
フォルシは笑ってみせました。泣くのを我慢するように、声が喉元で詰まっていました。目の前の少年がそんなことを言う理由がスナフキンには分かりませんでしたが、酷く心細そうに見えるのです。
「存在を誰かに許される必要なんてないよ、フォルシ」
スナフキンは静かに言いました。フォルシは唇を引き結ぶと、目元をゴシゴシと拭い、「もう少し居なよ」と呟きました。
「まだ話したいよ。アンタみたいに強くなりたい」
「フォルシにはフォルシの強さがあるよ」
「まさか」
「本当さ」
スナフキンは笑顔を浮かべました。お世辞ではなく、芯に秘める強さを本当に感じとっているのでした。
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雪野(プロフ) - ありがとうございます！投稿したら報告しますので機会があれば見ていただけると嬉しいです(●´ϖ`●) (2月6日 17時) (
レス) @page2 id: bc308af5a3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名さん - (続き) 作者の名前とタイトルを記載していただければ、煮るなり焼くなりお好きになさってください。(僕も趣味の範疇&気の向いた時の更新ですので、雪野さんも描きたくなったらお好きなところだけ……が自然だと僕も思います！笑) (1月23日 2時) (レス) id: 3945cd8343 (このIDを非表示/違反報告)
匿名さん - 雪野さん» コメントありがとうございます！お返事が遅くなってしまって申し訳ありません。まだお気持ちに変わりなく、僕の拙い夢小説にそのような素敵なファンアートをつくってくださるのなら、僕はとても嬉しいです。 (1月23日 2時) (レス) id: 3945cd8343 (このIDを非表示/違反報告)
雪野(プロフ) - とっても好きすぎます… このストーリーを丸々そのまま漫画にしてpixivに上げたいのですが良いでしょうか？ 趣味の範疇なので途中までかもしれませんが... (1月12日 16時) (レス) id: bc308af5a3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名さん(プロフ) - marimo03250226さん» コメントありがとうございます！夢主だけじゃなく雰囲気もふわふわさせていけたらなと書いています(*´`*)笑 応援とっても嬉しいです！のんびりお付き合いくださると幸いです (11月28日 23時) (レス) id: 3945cd8343 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名さん(情緒不安定) | 作成日時：2023年1月30日 2時
