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放り損ねた薪が、焚き火の手前にころんと転がります。帽子越しに自分の頭を撫でるそれが少女の手だとスナフキンが気がつくのに、少しの時間が要りました。
 思わず少女を見上げると、あどけない心配が困り眉に現れていました。

「ええ、と……ありがとう……」

 ほんのり赤く染まったほっぺを隠すため、スナフキンは俯きました。頭を撫でられたのはいつぶりでしょうか。スナフキンは、すぐには思い出せません。
 子供扱いされているようで照れくさいのですが、幼い好意をふりほどくのもためらわれます。迷いの中で、スナフキンは少しの間、大人しく撫でられ続けるのでした。

「……もういいよ、痛みは無くなったから……」

 やがてスナフキンはやんわりと頭を離しました。むずがゆいような変な気持ちです。なぜって、スナフキンはムーミン谷ではおとなにも子供にも頼られることが多く、どちらかといえば頭は撫でてやる方の立ち位置だと思っているからです__実際だれかを撫でたことがあるかや、撫でたいかどうかは別として。

 急に居心地が悪くなったスナフキンは、地面に転がった薪を拾うふりをして少女と距離をとりました。ぱかりと小さく口が開いて、遅れて言葉がやってきます。

「この国を出てしまおうと思ってるんだ。朝にでも……。だからもう寝なければ明日歩けなくなってしまうだろうけど、なにかがずっと傍にいるようで寝つけなくて……」

  拾った木の枝を火に焚べながら、スナフキンは混乱していました。こんな風に弱音を吐くなんて__しかも今日会ったばかりの少女に。もう、この国に来た時からずっとこんな風なのです。調子が狂ってしまっているのでした。

「ごめん、おかしな話を」

 聞かせたね、と続く言葉はスナフキンのお腹の奥に引っ込みました。
 それは振り返ったすぐそこに少女の顔が迫っていたからで、その顔に浮かんだ笑みが不思議と穏やかで、小さな2つの手がスナフキンの手をきゅっと包みこんだからでした。
 てのひらがじんわり熱くなります。

「__」
「え、」

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設定タグ:ムーミン , スナフキン , 楽しいムーミン一家   
作品ジャンル:アニメ
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雪野(プロフ) - ありがとうございます!投稿したら報告しますので機会があれば見ていただけると嬉しいです(●´ϖ`●) (2月6日 17時) (レス) @page2 id: bc308af5a3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名さん - (続き) 作者の名前とタイトルを記載していただければ、煮るなり焼くなりお好きになさってください。(僕も趣味の範疇&気の向いた時の更新ですので、雪野さんも描きたくなったらお好きなところだけ……が自然だと僕も思います!笑) (1月23日 2時) (レス) id: 3945cd8343 (このIDを非表示/違反報告)
匿名さん - 雪野さん» コメントありがとうございます!お返事が遅くなってしまって申し訳ありません。まだお気持ちに変わりなく、僕の拙い夢小説にそのような素敵なファンアートをつくってくださるのなら、僕はとても嬉しいです。 (1月23日 2時) (レス) id: 3945cd8343 (このIDを非表示/違反報告)
雪野(プロフ) - とっても好きすぎます… このストーリーを丸々そのまま漫画にしてpixivに上げたいのですが良いでしょうか? 趣味の範疇なので途中までかもしれませんが... (1月12日 16時) (レス) id: bc308af5a3 (このIDを非表示/違反報告)
匿名さん(プロフ) - marimo03250226さん» コメントありがとうございます!夢主だけじゃなく雰囲気もふわふわさせていけたらなと書いています(*´`*)笑 応援とっても嬉しいです!のんびりお付き合いくださると幸いです (11月28日 23時) (レス) id: 3945cd8343 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:匿名さん(情緒不安定) | 作成日時:2023年1月30日 2時

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