stxxx様BL集

． ページ9

そういえば、ころんと長く話したのはいつだっけ？
挨拶くらいはするけれど。

実際ころんといる時間より、るぅとといる時間の方が長い気がする。

「さとみくんがよく知ってるでしょ？」

「え？」

「ころちゃんが寂しがり屋なこと」

「...うん」

「行ってあげなよ。ころちゃんはさとみくんを待ってる」



そう、だよ。

俺が行かなくてどうするんだ。
ころんをずっと一人にさせて。



「うん、ありがと。なな兄」

＿＿＿＿＿

「ころん？入るぞ？」

ノックをして返事がなかったから、そっと部屋に足を踏み入れた。
けど、





「え、居ない...？」

どこにも弟の姿は見当たらなくて。


しかし、ぐるっと2人部屋を見回すと、一つだけ異様なところがあった。
思わぬ隠れ場所に笑ってしまい。


「ころん？ここだろ？」




そう、二段ベッドの下の段、俺が使っている布団。
いつも畳んでいるはずなのに、一つの山がこんもりとできていた。

頭があると思われる場所をつつくと、山がもぞっと動いて。
布団からころんが器用に顔だけ出した。


「なに」

「何って、開口一番それかよ」


ころんが数秒フリーズして、今度はわたわたと慌てだした。

「なっ、ぇ！？」

「おん。俺でなんか悪かったか？」

「別に、」

ふふ、肯定しないし否定もしないとは。
ツンデレみたいなとこ、やっぱ昔と変わってない。


「でも、るぅとくんといたんじゃ」

「んーん。ころんと一緒がいい」


あ、照れたのか布団に逆戻りしちゃった。
本心言ってあげただけなんだけどなぁ...

こんなんじゃ精神年齢上がんないって。


「なぁ、ころん」

「...何」

「ごめんな」

「ぇ」

「お前がずっと構ってほしかったの、気づいてやれなくて」

「...」

「ずっと一緒にいたはずなのに、勝手にお前のこと、分かってたつもりだった」


そう。
るぅとをあやしている陰でころんがじっと見ていたのを、見ないふりをしていただけで。
相手にしてほしいって言っていたのに、ころんのことを俺が考えていなかった。


最低な兄なのに。




「じゃあさ」

布団の中から声が聞こえて。

「ん？」

「申し訳なかった分、僕にこれから構ってよ」

「え」

「これからちゃんと一緒にいて」




「僕からのお願い」、なんてさ、



「当たり前だろ、そんくらい。恥ずかしくて照れるなよ？」

なんて頭を撫でてやると、


「っ、ばか」



るぅとの相手をしていたときだって、お前のことは忘れてない。


世界一の弟だから。

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