”愛して欲しい”は嘘じゃない。 (ページ22)

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「今日は出かける。支度しろ」

バーにつくなり言われた一言。

「えっと・・どこへ？」

「カツアゲです！」

どこか楽しげなトガさん。

カツアゲって楽しいものなの・・？

「・・・わかりました」

バーは立派だけど実際活動資金は常に不足しているらしく、月一くらいのペースで思想団体などのアジトを荒らしては金目のものを盗んでいるらしい。

手早く雄英の制服から持ってきた大きめのパーカーとズボンに着替える。

「結子、お魔それ私物か？」

「えっと、ダメでしたか・・？」

おそるおそる尋ねると射抜くような視線と目があった。

「バレるぞ」

「っ！」

私は雄英高校の生徒。

ヒーロー育成校として名高い雄英高校の生徒がヴィランに協力している＿＿＿＿それが世間に与える衝撃はきっと少なくはない。

だからこそその情報は”バレて”はいけない。

然るべきタイミングで切ってこその”カード”だ。

それにいまバレてしまえば＿＿私の存在価値はなくなる。

「私の服貸してあげます！かあいいお洋服があるのです！」

「いいんですか・・？汚しちゃうかもしれないのに・・」

「いいから言ってんだろ。早く着替えろ」

弔くんは出てくださいとトガちゃんが死柄木さんを追い払ってくれたのを見計らって服を脱いだ・

トガさんの可愛らしくも大人っぽい服に着替える。

「スカートなんて、制服以外出来るのなんて久しぶり」

パーカーを脱いで、トップスに手を伸ばしたときだった。

「・・・・・は」

黒いもやもや、もとい黒霧さんのワープゲートから出てきた荼毘さんと目が合う。

荼毘さんは面食らったような表情をしてから踵を返すにも返せず、私は恥ずかしさと驚きで思わず硬直する。

「結子ちゃん、そういえば荼毘くんが＿＿って・・・・キャー荼毘くんえっちです早く目閉じてくださいっ！」

嵐のように過ぎ去っていったトガちゃんによって連れて行かれた荼毘さんを呆然としながら見送った。