第８６話(過去編) ページ26
白竜が連れていかれた後も私はそこから動けなかった。ただ呆然と走り去った車のタイヤの後を眺めていただけ。
「A、気をおとすなよ。」
「そうよ、Aが悪いんじゃないんだから。」
「きっと白竜は戻ってくる。」
皆がそれぞれに励ましてくれた。それでも心の傷は治らなかったけれど少しはマシになった。
私にはこんなにも仲間がいたんだ...と少し嬉しくもなった。
次の日になっても白竜は帰ってこなかった。
次の週になっても白竜は帰ってこなかった。
みんなの間に少しずつ険悪なムードが漂い始める。心なしかサッカーをする機会も減っていた。
次の月になっても白竜は帰ってこなかった。
それからさらにひと月経った日、彼は戻ってきた。
とてつもなく強くなって、それと同時に何かを忘れて。
「「白竜！！！」」
アンリミテッドシャイニングのメンバーを先頭に皆が走っていく。
でも、そこにいたのは白竜じゃなかった。いや、確かに白竜だけど私の知っている白竜じゃなかった。
「大丈夫なのか？」
誰かが聞いた。
「お前らこそ大丈夫なのか。なんであそんでんだ、さっさと練習しろ。」
「白竜？」
「俺は究極なんだ、逆らうのは許さない。」
その言葉を聞いた時、全員の冷たい目が私の方を向いた。
「お前のせいだ。」
「お前ならどうなってもよかったのに。」
「どうしてくれるんだ。」
たくさんの言葉の槍が私に降り注いだ。
あの時、なぜ実験台にならなかったんだろう、何度そう思ったか。1人で、雨に打たれて突っ立っていた。雨が降っているおかげで、涙が頬を伝っていくのは感じなくてすんだ。
あの頃はもう戻ってこない、皆と一緒に過ごした楽しい日々は、初めて感じた家族同然の温もりは。
・
・
それから私の居場所はそこではなくなった。
“白竜を元に戻す”
そういう条件の元、フィフスセクター最強のサッカー選手へ私はなった。
毎日のように続く練習、最終的に私はなにも感じない人間になりつつあった。
そう、フィフスセクターの目的は最初から私に向けられていたのだ。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
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ワンダーランド☆(プロフ) - かおるさん» 読んでくださってありがとうございます！返事に困ったとか言えな(((((( (2016年6月6日 20時) (
レス) id: 796d55a47d (このIDを非表示/違反報告)
かおる - かおる (2016年6月4日 3時) (レス) id: 520dc7ae46 (このIDを非表示/違反報告)
ワンダーランド☆(プロフ) - (^q^)さん» ありがとうございます！！！！！更新頑張ります！ (2015年11月24日 22時) (携帯から) (レス) id: d26f5b19d3 (このIDを非表示/違反報告)
(^q^) - とっても面白いです！私こういう作品結構好きなんです！続き待ってます。頑張って！ (2015年11月24日 19時) (レス) id: 81be75f0b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ワンダーランド☆ | 作成日時：2015年11月20日 22時
