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side Yuki.
合宿が始まって数日が経った。
今日から女子チームも合宿を開始したらしく、トレセンは今までよりも人が忙しく動き回っている。
男子は前半のトレーニングと練習を済ませ、女子との顔合わせのために一旦休憩になっていた。
一人トイレに行くために離れ、時間も近づいてきていることだし顔合わせの会場へ。
途中でマサさんたちと合流し向かっていると、練習を済ませた女子選手たちと遭遇。
代表経験者、インハイ・春高出場者、見たことのある選手も多く挨拶を交わしていると、最後に見た選手に目が止まった。
知らない選手だ。
彼女は関係者と話しながらタブレット端末を覗き込んで歩いていた。
「花井さんだ」
その場にいた男子の誰かが呟いた。
花井?そんな選手、聞いたことがない。
他の選手が声をかけてくる中、彼女もこちらに気づき、「お疲れ様です」と一声かけて歩いて行った。
「花井さんめちゃくちゃ綺麗だよな。あと細いよな。俺あの涼しげな目元めっちゃ好き」
いつのまにか健太郎さんが俺の隣にいた。
この人は相変わらず惚れっぽいな。
「花井さんとすれ違ったときマイナスイオン感じた」
大学の仲間でもある壱青までもが言う。
確かに美人といえば美人、に見えた。
高「それなのにあのえげつないサーブ、ギャップぱねぇ」
石「サーブ?」
聞き返した俺に健太郎さんは「あ」と言ってにやにやと笑う。
高「お前さっきいなかったもんな。すげえの見逃したな」
石「だからどういうこと?」
柳「あの子、下手すりゃそこらの男子選手よりサーブ速いよ」
石「え!」
一緒に見たらしいマサさんが言うのだから、相当なんだろう。
石「えー、俺も見たかったな。全然知らない人だし」
柳「全国経験なしで、青学。しかもほんの少し前までアメリカのネブラスカ大学のチームにいたらしいよ」
石「ネブラスカ大って、あの?」
コクリとマサさんが頷く。
めちゃくちゃな経歴だ。
高「ミス青学かな」
壱「いやありえる!」
そこはどうでもいいとして。
石「......マサさん、なんでそんなに詳しいの」
柳「......まぁ、色々と入ってくるんだよ」
石「へぇ〜」
女子の列に並ぶ彼女は、チームの中でも背が高い。にも関わらず、居心地の悪そうな顔をしている。
その隣には俺の一つ下の古賀選手がいて、こそこそと話している。
途中、目が合う。
少しだけキョロキョロとした彼女は、小さく頭を下げた。こちらも軽く頭を下げる。
なんだか変な人だ。
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夏実(プロフ) - 実在する人物を題材としているのでオリジナルフラグを外しましょう (2019年11月10日 4時) (レス) id: caffb068cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:松野 | 作成日時:2019年11月10日 2時