二十ノ怪ー葷燻ー(参) ページ21
禅「モジャ、ここにいたんだ。半透明で気づかなかった」
そう言ってモジャくんを撫でる禅子
芦「半透明に見えるの?」
禅「ヤヒコははっきり見えるけど他の妖怪はあんまり見えないかも」
安「ヤヒコと毛玉以外の妖怪を見たことあるのか?」
禅「ないと思う」
おそらく、"見たことがない"のではなく意識してないから"見えていなかった"の方が正しいだろう
ヤ「晴齊ー!助けてぇー!」
廊下の奥から助けを求めるヤヒコの声が聞こえた
曲がり角を曲がると、そこには縁側の柱と柱の間に挟まれた大きなヤヒコがいた
ヤ「挟まって抜けないんだよぅ」
禅「学校から帰ってきたらこうなってたんだ」
安「一応言うが、化けて元に戻れよ」
ヤ「何回も化けようとしたよ!戻ろうとしても戻れないの!昼寝から起きたらもうこうなってて・・・。なんでだよ芦屋!!」
芦「俺!?知らないよ!?」
ヤ「なんで知らないんだよ芦屋のバカーーーーーー!」
なんと理不尽な・・・・・・
安「不安事があってこうやって大きくなる妖怪はよくいるが・・・・・・」
「まぁ、ヤヒコに限ってそんなことはないだろうね。わがままだし、図太いし」
安「だよなぁ。ヤヒコ、心当たりはあるか?」
ヤ「えー、そんなのないよぉ。今日だってあちこち行って楽しかったしー、おやつの落雁も美味しかったしー、いい天気だから日向ぼっこしながら昼寝してー、禅子がガッコーから帰ってきたらブラッシングしてもらおうと思ってたのにー!」
「ヤヒコ・・・お寺のお手伝いするって約束で現世に残していること、忘れてないよね?居候の身なんだから、ちゃんとお手伝いしなさいよ」
ヤ「わ、わかってるよぉ」
たじたじのヤヒコを見るにあまり、手伝っていないのだろう
禅「後で手の届くところまでしてあげる」
「禅子もあまりヤヒコを甘やかさないでね?」
禅「私がしたくてしてることだから大丈夫」
「そう?」
芦「今の話だと、昼くらいまではフツーだったんでしょ?昼寝前に何かした?例えば拾い食いしたとか」
ヤ「バカにするな!拾い食いなんてボクしないよ!今日は落雁とじゃがいもしか食べてないもん!」
禅「ジャガイモってなんのこと?」
「落雁はおやつにおいたけど」と続ける禅子にヤヒコの顔がどんどん強張っていく
ヤ「拾い食いじゃないもん、盗み食いだもん」
157人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まるすけ。 | 作成日時:2020年2月18日 19時