オカネだけの関係

「帰ってくるな」 ページ2

賭けに負けた。
　
一時の勢いで勝算のない賭けをした自分自体が敗因だ。勝ち目なんてなかった。
　
『というわけで、今度メシ奢ってね』
　
ＯＫスタンプを送ってＬＩＮＥを閉じた。
　
　
　
「だって天月くんはさぁ、モテるじゃん。俺が勝てるわけないって〜」
　
言って虚しくなる。ベッドに身を投げた。
　
大学に入ってばかりの頃、友達になった天月くんとぼっち同盟を組んだ。
　
同盟組んだくせに賭けをするっていう矛盾。
　
　
　
『どちらが先に彼女を作るか』
　
負けた方がメシを奢る。天月くんはたぶんラーメンを要求してくると思う。
　
そのくらいならまぁ、いいよね。お手頃なのが天月くんなりの優しさなんだと思う。
　
　
ただ俺も、もうそろそろ賭けどーのこーのの場合じゃなくなってきた。
　
どっちが彼女を先に作れるか、じゃなくてもう彼女の一人や二人いなくてはいけない年齢なんだ。
　
中学高校、そして大学に入って数年の今でも女性に恵まれた事はないし、そんな気配すら感じない。
　
　

　
「彼女作るまで帰ってくるな」
　
夏休みに実家に帰ろうかと電話して、母親に言い放たれた。
　
彼女いないなんて言ったことなかったじゃん。いやいないんだけどさ。
　
実家に置いて行った初代相棒のギターを思い出して取りに行こうと思ったのに。
　
これじゃぁ取りに行けない。
　
　
＿＿＿＿だから、あんまりやりたくなかった手を使うことにした。
　
出会い系サイト、は少し気が引くんだよなぁ。
　
調べて調べて、やっと見つけた。
　
　
『恋人代行』
　
レンタル彼女ってやつ。しかも格安で、健全そう。
　
　
　

そこで見つけてしまった。
　
　 君を。
　
　

「ご指名です！」→←ボランティアってことにしておこう。

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