【SAO】もう1人のビーター〜希望と絶望のシンフォニー〜

クライン ページ12

「どっりゃぁあぁぁあああぁ!!!」









スイッチで前衛に出てきた“趣味の悪いバンダナ”を着けた男性が、曲刀に渾身の力を込めてソードスキルを放つ。









こちらもキレイに弱点にヒットしたため、一気に残りのHPバーが減り、ポリゴン片を撒き散らしながら敵は消えた。









「……す、すまなかった！ ホントにありがとな!!」









硬直が解けた体を男の方へ向ける。









『別に、気にすること無いです。困った時は、お互い様だと思いマス……』









「そう言ってもらえて嬉しいぜ！ 俺は“クライン”って言うんだ。よろしくな!!」



『へっ？ ぁ、うん、よろしく……？』









突然のクライン(？)の自己紹介と、同時に差し出された手に戸惑う。









(この手は握手を求めているんだろうか……)









少し俯き、前に垂れてきた前髪の隙間からクラインを見上げる。









ニコニコと笑顔を浮かべたままだ。









どうしてイイかわからないまま、おそるおそるクラインの手を握った。









するとギュッと握り返してくる。









『……よ、よろしく……』



「おうよ!!」









先程とは打って変わって、山賊面にニカッと笑顔を浮かべるクライン。









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この世界に来て初めて握った他人の手は、仮想空間でありながらも、とても温かかった。

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