まー、楽勝ですねえ。 ページ47
ニヤリと笑った校長の、開始の合図で始まった試験。
初めは英語だ。
流石、国内でも上位だという進学校。
問題の説明から全て英語で書かれている。
私は先ず自身の名前を書き、シャーペンを持ったまま問題を上から下までゆっくりと見る。
ーーなァんだ。思ったより大したこと無いじゃん。
薄らと口元に笑みを浮かべた私に気づいたのか否か。校長と同じく私の試験監督に就いた国木田さんは、小さく溜め息を零した。
*
「そこ迄だ。終わったかね、篠原さん。」
『まー、楽勝ですねえ。』
「……そうかい。それでは私は、この解答を持ち帰り採点をするよ。3日後迄には点数をお伝えしよう。
嗚呼、そうだ。之は依頼だ。
莫迦にしたような笑みで、校長は応接室を出て行った。
『……国木田さん。あの人、教師が務まるんですかね。』
「知らん。俺に聞くな。」
『でも国木田さん。元数学教師でしょ?』
「今は違う。」
『頭堅いなぁ……。』
「それより良いのか? 待ってるんだろう。」
嗚呼、危ない。忘れてた。
『私、セーラー服とブレザー、どちらが似合うと思いますか?』
国木田さんは黙ったまま視線を応接室の扉へ向けた。
早く行け。ということだろうか。
私は肩を竦めて笑った後、静かに応接室を出た。
〖国木田side〗
全く……太宰の奴もAも、考えが一切読めん。
あれはもう理解不能な領域だ。
俺は扉の方に向かって声をかけた。
「其処に居るんだろう、太宰。」
「あれ、バレてたんだ。」
「当たり前だ。
……ところで太宰。どうだったんだ。」
「どう、って?」
太宰は、ヘラヘラと気持ち悪い笑みを浮かべる。
「見たんだろう。」
「……うん、まあね。それにしてもあの人、無用心だなあ。人の答案用紙を、封筒にも入れず持って帰るなんて。」
「結果は。」
「国木田君はせっかちだねえ。そんなんじゃ直ぐに死んじゃうよ?」
一向に結果を喋ろうとしない太宰に、いい加減我慢の限界が近づいた俺は、キッと太宰を睨みつける。
すると太宰は、おお、怖い怖いと両手を上げておどけて見せた。
「私が見たのは極一部だったのだけどね。
……正答率は90%越え。彼女の言う通り、あれは余裕で合格かもねえ。」
太宰は妖しく、でも何処か予想通りだというように笑った。
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こおりざとう(プロフ) - みるくてぃーさん» 確かにそちらの方が、後味も悪くなく(?)良い気がしますね…!次からは、もう少し幸せな終わり方を目指してみます。ありがとうございました。更新頑張ります! (2016年11月2日 21時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃー - どうせならハロウィン『…っていう夢を見たんだ。』敦「やめて」って感じの方が…!でも面白かったので良し!!更新頑張ってください! (2016年11月1日 0時) (レス) id: acf5ab12fc (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 物部さん» 改めまして、物部さん。コメントありがとうございます!更新頑張ります!! (2016年10月30日 8時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
物部(プロフ) - ネーム変更致しました。元サクヤの物部です_(._.)_改めて更新頑張って下さい! (2016年10月30日 0時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 黒兎さん» フォローありがとうございます!!面白いと言われると、私のやる気が上がります(笑)文才は無いですが、無いなりに頑張っていきます。 (2016年8月19日 7時) (レス) id: 78284aef9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こおりざとう | 作成日時:2016年7月12日 22時