予想外 ページ20
────時計を見る。
午後5時28分。
……とか云ってみたが、実際は携帯の待ち受け画面に出てたのを読んだだけ。
それにしても、今日は忙しい1日だった。
潤君と仕事に出かける。
↓
なんか帰宅途中に爆発事件に巻き込まれる。
↓
軍警に尋問される。
↓
会社に戻る。
↓
国木田さんに褒められる。
↓
江戸川さんに捕まる。よく分かんないけど、最終的に褒められる。
↓
社長に褒められる。
↓
太宰さんに心中しないかと誘われる。
↓
答えは勿論OK。
↓
国木田さんに怒られる。
↓
退社時間になったのでさようなら。←今ここ
こうやって見ると、かなり頑張ったなあ、私。
私は鼻歌を歌いつつ、ジサツスポットやら悪い輩が居そうな路地裏やらを探し乍ら自宅へと足を進める。
社員寮とやらに入れば、会社までそんなに歩かなくて良いのかもしれないが、生憎、自宅を離れる気は毛頭無い。
何故なら、親の休みは不定期で(決して職が安定していない訳では無い)、いつこっちに帰って来れるか分からないから極力家には居たい。
『……ただいま我が家ー……。』
鍵を差し込みガチャリと回す。
玄関に両親の靴は、無い。
『3カ月突破。いえーい。』
悲しんだところで何か変わる訳では無いし、1人で自嘲する。
別に悲しく無いし、寂しく無い。
電話は、最低でも週1でしてる。
メールに関しては毎日だ。
親の放任主義は理解しているし、そのおかげでここまで生きてこれたと云っても過言では無い。
海外での仕事も、私の為だ。
タンタンタンと私が階段を上がる足音が、静かな家に響く。
2階にある、女子っぽさの欠片も無い自分の部屋に入り、ポスンとベッドに寝転ぶ。
寂しく無い。
1人じゃ無い。
不幸なんかじゃ、無い。
ベッドの上に置いている、去年のクリスマスに両親がくれた大きなぬいぐるみにギューと抱きつく。
その時、ピピピと携帯が軽い音を立てた。
電話だ。
画面には、【太宰さん】の文字。
『……もしもし、』
「やあ、Aちゃんかな?」
『私の携帯に掛けたんですから、私が出るに決まっているでしょう。』
「それもそうだね。ところでAちゃん。」
一息吐いた太宰さんの口から出た言葉は、予想外のモノだった。
「今夜は暇かな?」
『はっ? ……まあ、暇、ですけど。』
「そうか、それは良かった。じゃあ今から行くね。」
ほらね。予想外のモノでしょう?
『……はァ!?』
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こおりざとう(プロフ) - みるくてぃーさん» 確かにそちらの方が、後味も悪くなく(?)良い気がしますね…!次からは、もう少し幸せな終わり方を目指してみます。ありがとうございました。更新頑張ります! (2016年11月2日 21時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
みるくてぃー - どうせならハロウィン『…っていう夢を見たんだ。』敦「やめて」って感じの方が…!でも面白かったので良し!!更新頑張ってください! (2016年11月1日 0時) (レス) id: acf5ab12fc (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 物部さん» 改めまして、物部さん。コメントありがとうございます!更新頑張ります!! (2016年10月30日 8時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
物部(プロフ) - ネーム変更致しました。元サクヤの物部です_(._.)_改めて更新頑張って下さい! (2016年10月30日 0時) (レス) id: fcc84377d6 (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - 黒兎さん» フォローありがとうございます!!面白いと言われると、私のやる気が上がります(笑)文才は無いですが、無いなりに頑張っていきます。 (2016年8月19日 7時) (レス) id: 78284aef9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こおりざとう | 作成日時:2016年7月12日 22時