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今日は特に仕事が無いので、部屋でテレビを見ている。
先程から部屋の前を行き来するマフィア構成員の足音を聞き乍ら、大変だなぁ……と人事に思っていた。
ソファーに寝転んだまま、テーブルの上に置いたポテ○チップスを取り、頬張った。
取るのはアレだ。あの、なんか、遠い所にあるポテ○チップスを掴む専用のやつ。
何か面白い番組は無いものかと、傍らに置いてあったリモコンを手に取る。
と、其の時だった。
私の部屋の扉が、控えめにノックされた。
『はぁーい?』
「僕です。芥川です。」
『りゅー君!』
私はソファーから飛び起きて、扉を開ける。
其処には、傷だらけになったりゅー君が居た。
『之は又……派手に遣られたねえ。』
「済みません。」
『謝らなくて善いのに……さ、中入って。手当しよ。』
私の言葉に、りゅー君はもう1度頭を下げ、素直に部屋の中へと入ってきた。
私はこうして、りゅー君の手当を担当しているのだ。
りゅー君は、他人と干渉するのを好まないから。
ま、云うて私も他人だけど。
【芥川龍之介】
治が幹部に昇進した日に、直轄の部下とする為に拾ってきた孤児。
殺戮の異能力──羅生門──の使い手
『任務……じゃないね、治か。』
「厭、あの…………はい。」
『全く。彼奴は如何してこうあるかねぇ。』
「僕が悪いのです。僕が弱いから、」
『ストップ』
私は人差し指をりゅー君の唇に当て、これ以上は云うなと促す。
りゅー君は大きな目を更に見開いた。僅かながら頬が紅潮している。
『私は、龍之介が頑張ってることも、既にマフィア内で一目置かれる程の実力者であることも知ってる。』
ーーあんまり自分を責めるなよー。
と私が笑うとりゅー君は、嬉しそうに頬を緩ませ、小声ではあるがありがとうございますと云った。
『そだ、銀ちゃんは? 最近合ってない……。』
「銀なら元気です。アイツも、Aさんに会いたがってました。」
『ホントにっ!? 嬉しい!』
りゅー君がフッと微笑んだ。
こういうところは、なんとなく治に似ている気がする。本当になんとなく、だけれど。
「本当に何時もお世話に成っています。銀も、僕も。」
『良いの良いの。気にしないで。好きでやってることだしねえ。』
するとりゅー君が、突然顔に影を落とした。
『りゅー君?』
「僕は……僕は、何時か太宰さんに認めてもらうことが出来るでしょうか。」
静かな部屋に、りゅー君の声だけが響いた。
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こおりざとう(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます!お返事が遅くなり申し訳ありません…!ギャグ系のお話を書くのは苦手意識があるので、楽しかったと言ってもらえると、凄く嬉しいです! (2017年12月28日 22時) (レス) id: f96c6ac768 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ - 面白かったです^_^ヒロインのノリ&ツッコミ、楽しかったです^_^続きが、すごく気になります^_^これからも、頑張って下さい^_^ (2017年12月20日 0時) (レス) id: 8c0a96a096 (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - haruさん» お返事が遅くなってしまい、申し訳ありません。コメントありがとうございます!面白いと言っていただけて、とても光栄です! 更新頑張ります。 (2017年1月1日 2時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
haru - めっちゃ面白いです!更新頑張ってください! (2016年12月27日 9時) (レス) id: 6436e63b4f (このIDを非表示/違反報告)
こおりざとう(プロフ) - あいかさん» コメントありがとうございます! このコメントが、今年のクリスマスプレゼントになりました(笑) 更新頑張ります!! (2016年12月27日 0時) (レス) id: fb35e39608 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こおりざとう | 作成日時:2016年10月4日 1時