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#25




side_Hokuto




その町は村とは比べものにならないほど

活気に充ちていた。


俺はその雰囲気に圧倒されながらも、

胸は弾んでいる。


「あ、北斗。あれに乗ろう」


慎太郎の指さした先には何やら大きな物体に

紐で繋がれた馬がいた。


「馬だ!」


こんな所にも動物がいることが嬉しくて俺は

ついその馬の元へ駆ける。


「慎太郎!これに乗るの?」


「乗るのは馬じゃなくて、こっち」


どうやら馬には乗らず、

その馬に繋がれた物体に乗るようだ。


慎太郎は慣れた手つきで扉を開け、

中に乗り込んでしまった。


俺も真似て中に入ると、そこには向かい合う形で

椅子があり、何となく俺は慎太郎の横に座った。


「…こうゆうのって、

だいたい向かい合うんだけどね」


「やだ、隣がいい」


「そっか」


慎太郎が前方にいる人間に行き先を伝えると、

馬は軽快に走り始めた。


そして馬に引かれ、俺らもゆっくりと動きだした。


「うわっ」


「これが馬車」


「へぇ…少し怖い」


「平気だよ。ほら、外見てみて」


慎太郎に言われ窓の外に目をやると、

恐怖なんて一気にどこかへ行ってしまった。


今までに経験したことのないスピードで

景色が移り変わる。


「…すごい!」


窓の外の景色に釘付けになっていると、

慎太郎が「フフッ」と笑った。


その声に振り返ると、

慎太郎は俺の方を見てニヤニヤしている。


「北斗すごいね、そんなんで喜べるなんて」


「だって、初めてだから…」


「北斗のそーゆうとこ、俺すごく好き」


「…ばか」


「好き」という言葉にわかりやすく熱くなる

顔を隠すように、俺は再び窓の方を向いた。


でも、頭の中はもう慎太郎のことでいっぱいで、

景色なんて楽しむ余裕はなくなってしまった。




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ま り ゅ 。(プロフ) - 会場にいました !! 面白かったです 、次回作もとても楽しみにしております ^ ^ (2019年5月3日 21時) (レス) id: 175c974560 (このIDを非表示/違反報告)
りほ(プロフ) - HARUTOを感じさせるところがたくさんあり、とても面白かったです!お疲れ様でした! (2019年5月2日 21時) (レス) id: 8fe4720d0e (このIDを非表示/違反報告)
あいたん(プロフ) - お疲れ様でした!とても楽しかったです。実は私も大阪でズドンしてました笑この作品の世界観がとても好きで、毎回更新を楽しみにしてました!次の作品も楽しみにしてます! (2019年5月2日 18時) (レス) id: 634aec9d51 (このIDを非表示/違反報告)
きゅうり。(プロフ) - いつも更新お疲れさまでした!こういう雰囲気の小説初めて読んだんですが見事にハマりました!私の好きなCPが両方入ってて更新される度に見るのが楽しみでした!次回の作品も楽しみに待ってます! (2019年5月2日 11時) (レス) id: 9dc82746ac (このIDを非表示/違反報告)
紅の三角#苺日和 - お疲れ様でした!!毎日の楽しみになっていた月華。前作から読んでいて、さいかさんの書き方そのままうつしたいぐらい好き…次作楽しみに待ってます♪ (2019年5月1日 23時) (レス) id: ccec864579 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さいか | 作成日時:2019年3月17日 18時

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