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視界の端で白が揺れ動く。
ミスラとAの横を1人の男が通り過ぎようとした。
｢オーエン。そなたもか｣
｢ふふ……。世界が滅びかけたって？｣
それは、先程まで散々Aを虐めていたオーエンであった。
彼の顔は玩具を買いに行く小さな子供みたいに酷く楽しげだ。
｢みんな、みんな、恐怖と喪失に泣いているだろう。すぐに見てこなくっちゃ。きっと楽しい｣
｢うわ！最低！最悪！性悪男！｣
｢Aの言う通りじゃ。相変わらず、悪い子じゃのう｣
｢はは……。おしおきする？怖い、怖い、北の魔法使いの双子先生｣
｢おしりを叩いても、そなたの性根は変わらんじゃろう｣
｢変わらんじゃろうな｣
スノウとホワイトの呆れたような反応にも、オーエンは何処吹く風だ。
｢よくわかっているじゃないか。じゃあね。A、次会った時は頭から丸呑みにしてやるから｣
｢ぎゃっ！！｣
オーエンはぐわっと口を開いてみせる。真っ赤な舌には紋章が見えた。
先程の罵倒はスルーしてくれなかったらしい。
最後の最後に凄みのある脅しをかけ、満足気に笑うオーエンは、軽やかな足取りでその場を去っていった。
｢行ってしもうた。ん？どうした、ミスラ｣
一方で取り残されたミスラは少し居心地悪そうな様子を見せていた。
行き場の無い感情を隠すかのように、彼の手はAに触れ、わしわしと撫で回す。
しかし、その手つきはやはり雑だ。
溢れていた綿がさらに出てくる。
好きな人との触れ合いに喜ぶ一方で、Aは少し焦っていた。
｢いや。オーエンに先を越されて……｣
｢立ち去りそびれとるのか｣
｢あ！ごめん！私がわたわたしてたから！｣
｢別に構いませんけど｣
｢ふてぶてしいが愛嬌のある子じゃ｣
｢へへへ、そうなの！！ミスラは愛嬌があっていい子でかっこよくて色気があって、最高の男なの！！｣
｢はあ……どうも｣
｢盲目じゃな｣
｢ミスラも言われ慣れとるのう｣
スノウとホワイトに釣られて、Aも思わずミスラの良さを力強く熱弁したが、彼は慣れたようにそれをさらりと受け流す。
そんな彼の様子を見ても、Aはなんてスマートな姿勢なのだろうと、キュンと胸を高鳴らせるだけ。
恋する乙女は好きな人のどんな姿にもときめきを覚えるものであるのだ。
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あいねこ - 最高です。キャラクターとの関係性が素敵すぎます！素敵なお話をありがとうございます。更新楽しみにしております。 (2021年4月19日 2時) (
レス) id: 650a36dc0f (このIDを非表示/違反報告)
藤李 - ぬいぐるみが主人公とは珍しいですね！とっても面白かったです！続き待ってます！o(*ﾟ∀ﾟ*)o (2020年4月14日 19時) (レス) id: b71c5bc041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星子 | 作成日時：2020年2月29日 2時
