聞かなかったことには出来ない。 ページ21
暫くすると掛けていた毛布がずり落ちそうになる。
暖房ついてるけど今日だって寒いんだからちゃんと掛けなきゃだめ。
肩に毛布を掛け直すとAさんと目が合ってしまった。顔が近くて恥ずかしくなってしまう。
ただでさえ熱があるんだからさ、これ以上熱上げさせないでくれ。
いやもうすでに遅いんだけどね。
「おはようございます」
「河村さん、起きてたんですね。体調どうですか？」
「熱は微熱かな。Aさんが看病してくれたって福良から聞いたよ、ありがとうございます」
「わ、私は何も出来ていないので…」
毛布の中に顔を埋めるのは反則なんですよ。
「俺が部屋に入る時まで河村の手握ってたしね。」
「福良くんッ！？」
Aさんが僕の手を握ってたとは？
何となく夢の中でそんなシチュエーションもあったなとは思ってたけど。
「とりあえず河村さんの体調が良くなってきて安心しました！用事を思い出したので帰ります！」
「A、逃げるの〜？」
「用事があるので！！」
足早に荷物を持って部屋を出て行く。
福良マジからかってんな。
悪趣味すぎるぞ、親友だからっつって。
僕も人のことは言えないんだけど。
「さっきの話ってホント？」
「さぁ？Aに聞いてみたら？」
「聞けないから親友くんに聞いてるんだけど」
「教えてやんない」
こいつに好きな人が出来たら全力でいじり倒してやろ。
そして僕は再び布団に潜り込んだ。
近くに置いてあったスマホの通知音
[ AA：無理せずゆっくり休んでくださいね。あと福良くんの言ったことは聞かなかったことにしてくださいっ！］
僕はそこそこ記憶力良いので無理な相談ですね。
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作者名：*ゆ う* | 作者ホームページ：
作成日時：2021年1月3日 20時
