第81話 ページ38
治さんに連れてこられたお店は、最近SNSで美味しいし、オシャレだと話題のイタリアン。
学生には払えない値段ではないが、ちょびっと背伸びをしないと出せないレベルのお店である。
こういうところにサラッと連れてくる治さんは、
私にはやっぱり大人に見えてしまった。
治「好きなの頼みや！あ、コースにしよか」
メニューを2人で眺める。
コースと言っても、パスタとデザートは自分で選べる模様だ。
女子会などでイタリアンレストランに来ることは良くある。
そのときはみんなに合わせて適当に頼んで分け合いっこするから気にはしていなかった。
イタリアンってメニューの名前分かんないだよな…
チラッと治さんの様子を伺ってみるが、特に何事もなく選んでいるようだ。
なんだか、治さんに子供って見られたくなくて、
知っている名前を探す。
わからん。
もう無難に、1番上のやつにしよ。
店員「お決まりですか？」
「サーモンとホタテのクリームソースで」
店員「申し訳ありません、ただいまホタテが品切れでして、他のにしていただけますか…？」
オーマイガー…
もはやホタテ抜きでいい。
諦めて治さんを見た。
治「フフッ、Aちゃんやったらこれ好きやと思うで。」
そう治さんが指差したのは、
「ボスカイオーラ…？じゃあそれで！」
治「俺はこれで。」
店員「かしこまりました。デザートは後で伺いに参りますね。」
店員さんが去った後、治さんは私を見て笑った。
治「Aちゃん、メニュー考えてる時、全部声にでとったで。
おもろかったから言わへんかったけど！」
「え"」
治「ちなみに、頼んだやつはきこり風って意味で、キノコいっぱいのやつや。」
なるほど…、
でも、恥ずかしい…！！
治「別に分からんかったら聞いてくれてよかったのに、そんな子供やなんて思ってへんよ。」
「う…、ハイ…。」
治さんが頼んだのは、スパゲッティ・アッレ・ヴォンゴレで、ヴォンゴレがアサリのことだという。
なんでそんな詳しいの。
治「俺飲食業やで？勉強したに決まっとるやん！」
そう笑う治さんは眩しかった。
私なんて就活でどこも内定もらえずボロボロな人間なのに。
しばらくすると前菜が運ばれてくる。
それはそれは美味しそうで、
しかも私の目の前にいるのは、世界一おいしそうに食べる(と私が思っている)治さんで、
私の大好きな人。
こんな幸せな時間あるだろうか。
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ちかな(プロフ) - とても良かったです…素晴らしいお話でした！！！よろしければ番外編も見たいのでパスワード教えていただいてもいいでしょうか？あの続きを読みたいです！！ (6月6日 11時) (
レス) id: 94bbb03075 (このIDを非表示/違反報告)
ごま吉(プロフ) - 凄く面白いです！ですが68話のところ名前が(がないせいで変換されてないのが気になりました……！) (2021年11月10日 11時) (レス) @page25 id: 162c50cd7b (このIDを非表示/違反報告)
ayee(プロフ) - 番外編めちゃくちゃ見たいです！ パスワード教えてください。お願いします！ (2021年9月4日 9時) (レス) id: 3db7910b34 (このIDを非表示/違反報告)
えるる(プロフ) - 治ぅ…幸せになってよかったです！素敵でした！番外編私も見たいのでパスワード知りたいです。。ご検討お願いします (2021年8月28日 2時) (レス) id: dae120511d (このIDを非表示/違反報告)
もちーず - あの、番外編短編集のパスワードを教えて欲しいです。身勝手な願いですが、お願いします！ (2021年8月8日 20時) (レス) id: abd0311f3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たたねんこ | 作成日時：2020年5月1日 12時
