検索窓
今日:2 hit、昨日:29 hit、合計:467,599 hit

第75話 ページ32

私の頬を伝う涙を、治さんがそっと救い上げてくれる。



治「泣きすぎや、Aちゃん。
昨日からずっと泣いてたんやろ?真っ赤やで。」



コクコクとうなずく。



「私もね、治さんのこと、大好きなんです…」




私からも好きと言葉にできたら、涙が止まった。

治さんがすくってくれたからか。




治「…俺と、付き合ってくれますか?」




そう言ってフワリと微笑む治さん。


もうその笑った顔も、優しい声も、大好きだ。




「はいっ!」









治「Aちゃん、朝飯食べた?」



そういえば、起きてすぐに飛び出してきてしまったし、
昨日の夜から何も食べてない。




グゥゥゥ〜…




私のお腹が、代わりに返事をした。



まってめちゃくちゃ恥ずかしい。

雰囲気ぶち壊しじゃないか。




治「ハハッ!腹減ってんのな!飯食ってき!!」




そう言った治さんは、1番端のカウンターに座らせると、自分はカウンターの中へと入っていく。


お客さん目線だ。




治「お姉さんは、どのおにぎりをご注文ですかー?」

「じゃあ、豚キムチと梅で!」


そんな、普段私たちがお客さんとするやりとりを交わした後、てきぱきとおにぎりを作り始める治さん。



ご飯を握りながら治さんは口を開く、



治「俺、1番最初、スーパーで会ったときから、可愛ええ子おるなって思っとって、
Aちゃんがバイトの応募に来たとき、これ運命ちゃうかってくらい嬉しかったんやで。」





「え…」




そんな前から…?




私が意地張って、好きじゃなくて憧れなんだって自分に言い聞かせていた間も、

治さんは私のことを想ってくれていたの?





治「はい、豚キムチと梅ー、Aちゃんサイズなー!」



コトンと私の前に出される、小さめな2つのおにぎり。
私が1番丁度いいと思う大きさまで、治さんは覚えてくれている。




ホクホクと湯気が香る。
美味しそう。



治「今日1番の炊き立てご飯やで!いっぱい食べ!」


「いただきます!」



パクリと一口かぶりつく。




あっつあつの出来立ておにぎり。

思わず口角が上がる。






「おいしい!!!」

治「せやろー!!」



治さんはニコニコと私が食べているのを見つめた後、




治「あ、せや、もう開店時間や。

Aちゃん嫌やなかったらそのまま客として食べててええから!
ちょい店開けてくるわー!」





「あひはほうほあいます!(ありがとうございます)」






治「飲み込んでから喋り!!!」

第76話→←第74話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (731 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1634人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ちかな(プロフ) - とても良かったです…素晴らしいお話でした!!!よろしければ番外編も見たいのでパスワード教えていただいてもいいでしょうか?あの続きを読みたいです!! (6月6日 11時) (レス) id: 94bbb03075 (このIDを非表示/違反報告)
ごま吉(プロフ) - 凄く面白いです!ですが68話のところ名前が(がないせいで変換されてないのが気になりました……!) (2021年11月10日 11時) (レス) @page25 id: 162c50cd7b (このIDを非表示/違反報告)
ayee(プロフ) - 番外編めちゃくちゃ見たいです! パスワード教えてください。お願いします! (2021年9月4日 9時) (レス) id: 3db7910b34 (このIDを非表示/違反報告)
えるる(プロフ) - 治ぅ…幸せになってよかったです!素敵でした!番外編私も見たいのでパスワード知りたいです。。ご検討お願いします (2021年8月28日 2時) (レス) id: dae120511d (このIDを非表示/違反報告)
もちーず - あの、番外編短編集のパスワードを教えて欲しいです。身勝手な願いですが、お願いします! (2021年8月8日 20時) (レス) id: abd0311f3a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:たたねんこ | 作成日時:2020年5月1日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。