第76話 ページ33
治さんが店を開けると、外に並んでいたお客さんが入ってくる。
朝はお持ち帰りが多いとはいえ、すぐに満席となった。
私こんなカウンターに座って呑気に食べてていいのかな。
朝からこんなにお客さん入るなんて珍しいし、この量を治さん1人で回すというのか。
私も手伝った方がいいかなと思い、少し食べるスピードを上げると、それに気付いた治さんに、
治「今はAちゃんは客や!!ゆっくり食べ!」
と、止められた。
治さんら要領よく注文を取っておにぎりを握る。
お持ち帰りしたい客が来たらぱっと売る。
1人でも大丈夫そうか。
そっか治さんだもんなぁ…
なんて彼のことをガン見していたようで、
客「お姉ちゃん、彼氏さんのことずーっと見とるなぁ?」
カウンターの隣の席に座っていた若い男性のお客さんに声をかけられた。
「えっ、そんな、彼氏…」
改めて彼氏と聞くと恥ずかしくなった。
片手を自分を頬に当ててみると熱かった。
客「目も頬も真っ赤やで!変な報道されて辛かったよなぁ…。俺も信じちゃってごめんな。」
「い、いえ…」
治「あ、ちょい、俺の彼女ナンパせんとってな?」
客「ナンパなんかしとらんわ!」
よく聞くそのセリフも、いつもだったら「ウチのバイト」だった。
俺の彼女…
「フフッ…!」
思わず笑みが溢れた。
治「なに笑っとんねん!」
「なんか、幸せだなぁって…!」
・
その後、私はおにぎりを食べ終えると、治さんの手伝いをすることにした。
大学休んだことは、治さんにバレていたそうだけど、今日くらいええやろ、と…。
トイレの洗面台で顔を洗う。
改めて鏡で見てみると、本当に目が晴れててみっともない顔。
でも、どこか綻んでて、幸せそうな乙女の顔だ。
髪を整え、お店に置いてあった予備の制服に着替え、キャップを被る。
そうして私もカウンターの中へと入り、接客に務める。
治さんと2人で働いているからか、お客さんにちょくちょく謝られたり、昨日の報道の話をされた。
その度に少し恥ずかしくなり苦笑いで返す。
あーあ、悔しいけど、侑さんにもお礼言わなきゃなぁなんて思った。
バイトを上がった後、侑さんに電話をかけ、一通りの出来事を謝った後、本当に付き合ったことを報告した。
侑『俺のおかげやな!』
なんて言われたからちょっと腹立ったけど、
「私、侑さんのことも好きだよ。人としてね。」
侑『サムに殺されるわぁ』
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ちかな(プロフ) - とても良かったです…素晴らしいお話でした!!!よろしければ番外編も見たいのでパスワード教えていただいてもいいでしょうか?あの続きを読みたいです!! (6月6日 11時) (レス) id: 94bbb03075 (このIDを非表示/違反報告)
ごま吉(プロフ) - 凄く面白いです!ですが68話のところ名前が(がないせいで変換されてないのが気になりました……!) (2021年11月10日 11時) (レス) @page25 id: 162c50cd7b (このIDを非表示/違反報告)
ayee(プロフ) - 番外編めちゃくちゃ見たいです! パスワード教えてください。お願いします! (2021年9月4日 9時) (レス) id: 3db7910b34 (このIDを非表示/違反報告)
えるる(プロフ) - 治ぅ…幸せになってよかったです!素敵でした!番外編私も見たいのでパスワード知りたいです。。ご検討お願いします (2021年8月28日 2時) (レス) id: dae120511d (このIDを非表示/違反報告)
もちーず - あの、番外編短編集のパスワードを教えて欲しいです。身勝手な願いですが、お願いします! (2021年8月8日 20時) (レス) id: abd0311f3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たたねんこ | 作成日時:2020年5月1日 12時