エリート看守 ページ27
「じゃあ粘土を焼いてくれ、俺はAを連れてくる」
「石炭を全部取ってくれ」という看守の言葉の意味を履き違えたタップが、チェストにあったすべてのものを持っていこうとする、というトラブルがあったものの、予定通りに刑務作業を始めさせることができたジャンクは、Aがいる看守塔に急いで登った。
「A、刑務作業だ」
ジャンクの姿を見て黙ってベッドを降りたAは、先ほどと変わらず暗い表情だった。ジャンクはAを心配し、
「大丈夫かA」
と呼びかけるが、その声への反応すらない。
Aの過去も知らないままで、これ以上あの四人と関わらせるのはあまりよくないと感じたジャンクは、
「刑務作業だ……といいたいとこだが、色々あってな、Aの仕事がなくなったんだ」
と言い、Aの目線と同じぐらいになるように少し屈むと、未だに下を向いているAの顔を両手でそっと前を向かせた。
Aの目がジャンクの目をしっかり見たことを確認してから、
「今日は、俺と話すという刑務作業をやってもらう」
と言って、優しく笑った。
なぜここまでしてくれるのかわからない、というのが素直な感想だった。
しかし、目の前で優しく微笑んでくれている看守の行動に救われている、というのも事実だった。
Aは、ジャンクの手のぬくもりを感じ、溢れて止まらなくなった感情をジャンクにぶつけ始めた。
あの四人と一緒に行動すると、過去の自分を見ているみたいで、つらいんです。
私には刑務所送りにされた友達が四人いました。みんな詐欺師に引っかかって犯罪の片棒を担がされた、簡単に言えば、無実だったんです。だから刑務所送りになったときは、みんな憤慨してました。
そりゃそうですよね、当たり前です。でもみんなはとてもポジティブで、頭が良くて、冷静で……、本当に素晴らしい人たちでした。だからこそかもしれません。
……みんなで脱獄を計画し始めて。
私は面会のときに知らされました。そして、こういわれたんです。
Aも脱獄に協力して、と。
もちろん最初は断りました。これ以上罪を重ねても意味がない、やめようって。でも彼らの意志は固く、私一人の意見ではどうこうすることができませんでした。
それに……いえ、きっと、私は彼らに依存してたんだと思います。……だからこれ以上反対したら、嫌われてしまうと、そう思ってたんです。
――それが、どれだけ危ういかも知らないで。
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N(プロフ) - わーーー！！更新ありがとうございます！！セクハラ仕掛けようとするジャンクさんにキュンときました…！ (2019年1月9日 2時) (
レス) id: 9739c37198 (このIDを非表示/違反報告)
つかさ(プロフ) - Nさん» Nさんはジャンクさん推しなのですね……！ もっとジャンクさんと絡ませていきますね！ (2018年12月28日 22時) (レス) id: 51084a1629 (このIDを非表示/違反報告)
つかさ(プロフ) - りえるさん» りえるさんありがとうございます……！ その言葉で更新再開しようと思えました！ 頑張ります！ (2018年12月28日 22時) (レス) id: 51084a1629 (このIDを非表示/違反報告)
N - 初めまして！ジャンクさん推しなのでとっても最高なお話です！！続きが読めますように…！ (2018年12月14日 2時) (レス) id: 9739c37198 (このIDを非表示/違反報告)
りえる - めちゃくちゃ面白いです！一気に読みきってしまいました！続き楽しみにしています！ (2018年8月16日 21時) (レス) id: abbad6b46b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つかさ | 作成日時：2018年5月27日 21時
