八つ当たりのような不満 ページ19
まじで？
ジャンクの指が向けられた方角を見て、また立ち止まってしまったアムムの背中を押しながら、あるにあはラムザになんと報告して良いのか決められずにいた。
一緒に脱獄しようと言っていたラムザさんの気持ちを優先したいのは山々だけど、これ、もう不可能なんじゃ……？
焦るあるにあをよそに、ジャンクはAを背負っているにもかかわらず、颯爽と階段を上りながら、
「唯一空いてるのがここしかなくてな、さっきの刑務作業時間にベッドを運んだり、鉄ドア付けたり、大変だったんだぞ……」
と、誰も聞いていないのを知らずに、苦労を語った。
鉄ドアを開けると、一面に窓がある部屋に、ぽつんとベッドが置かれていた。
「下ろすの、支えてて」
よほど疲れていたのか、Aは起きることなく、ベッドの中に下された。
「起きそうにないですね」
アムムが寝ているAの顔を覗き込みながら呟くと、ジャンクは心底迷惑そうに、
「まったくだ。俺が運んだ苦労を返してほしいな」
と言う。
しかし、その顔が本気で言ったのではないということが誰にでも分かるぐらい、ジャンクの顔は優しいものだった。
Aの頬を、ゆっくり撫でながら、とても愛おしそうに見つめているジャンクのことを、あるにあはじーっと見ていた。
さっきの敵意って、もしかしてAさんがらみ？
あるにあは持っていたラムザの上着をぎゅっと握りしめた。ラムザの優しさも、ジャンクの表情も、全てを見ていたあるにあにとっては今のこの状況が、もどかしいような、わずらわしいような、なんともいえないものに変わっていく。
ラムザさんが上着をかけてたから？Aさんの名前を呼び捨てで呼んだから？
前まであんなに仲良くしてたのに。
看守とラムザがあんな揉め事を起こすのは初めてで、それを望んでいないあるにあにとって、今回の揉め事をAのせいにするほか、自分の気持ちに区切りをつける方法を知らなかった。
Aさんがいることが、結果的に看守と俺たちの仲を引き裂くことに繋がってる。
離さなきゃ。Aさんから。
「看守、いつまでもAさんを見つめてないで、帰りましょうよ」
あるにあの指摘に動揺しまくるジャンクは、見つめてないと訂正するのも忘れて、
「そうだな、帰るぞ」
と、あるにあの意思通りに行動した。
ただ唯一のあるにあの誤算は、ジャンクの顔が夕日に照らされたからなのか赤かったことだけだった。
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N(プロフ) - わーーー！！更新ありがとうございます！！セクハラ仕掛けようとするジャンクさんにキュンときました…！ (2019年1月9日 2時) (
レス) id: 9739c37198 (このIDを非表示/違反報告)
つかさ(プロフ) - Nさん» Nさんはジャンクさん推しなのですね……！ もっとジャンクさんと絡ませていきますね！ (2018年12月28日 22時) (レス) id: 51084a1629 (このIDを非表示/違反報告)
つかさ(プロフ) - りえるさん» りえるさんありがとうございます……！ その言葉で更新再開しようと思えました！ 頑張ります！ (2018年12月28日 22時) (レス) id: 51084a1629 (このIDを非表示/違反報告)
N - 初めまして！ジャンクさん推しなのでとっても最高なお話です！！続きが読めますように…！ (2018年12月14日 2時) (レス) id: 9739c37198 (このIDを非表示/違反報告)
りえる - めちゃくちゃ面白いです！一気に読みきってしまいました！続き楽しみにしています！ (2018年8月16日 21時) (レス) id: abbad6b46b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：つかさ | 作成日時：2018年5月27日 21時
