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楽屋の扉を開けた瞬間に北山に捕まった…
「おい!お茶泥棒!」
いきなりジャケットの裾を引っ張られ、思いっきりのけぞってしまった俺にはお構いなしでお茶を奪っていくそいつ…
泥棒はどっちだよ…とは言い返さなかった俺偉いと思う。
仕方なく飲む予定もなかった甘々なそれに口をつけながら渉の横へ座れば、なんだかニヤニヤと気持ち悪い笑顔でこちらを見つめてくるからそっと視線を外した
「朝からなんだか仲良しじゃないですか…(笑)」
『…別に』
「進展ありありじゃないですか…(笑)」
『…別に』
「とりあえず今日の夜空けといてね♡」
ヘタクソなウインクかましながら目は真剣だから逃げられそうにない…
いや…本当別に話せるような進展なんてないからさ…
どう話したらいいのかさっぱりだ。
そんな俺のことなんてお構いなしに向こうのソファーでは末っ子達と北山がなんだか楽しそうで、羨ましいのと同時に昔は俺の特等席だったんだぞ北山の隣は…なーんて、ちょっとだけ寂しくなった。
大人になるって素敵なことだと思ってたあの頃がなんだか懐かしい…
あの頃大人だと思っていた年齢になった今、
大人とはなんだろうと思うことが増えた気がする
経済的にも、精神的にも自立して、自分でなんでも決められて、スマートになんでもこなせる…そんな漠然とした大人像
その大人像に自分はどれだけ近づけているのか…
そもそも大人とは?
そんなことを最近よく思う。
ずっと北山の背中を追いかけてきた
この事務所歴は俺の方が長いけれど、年齢では2つ先輩
たった2つのはずが…2つの壁はデカかった。
グループで何か壁にぶち当たる時、個人的スランプの時、何気ない日常の中、当たり前のようにそのたった2つの差を目の当たりにしてきた
越えたいと思いながらも、ずっとその背中を見ていたい気持ちもあって…
がむしゃらに追いかけていながらも、いつまでも引っ張られていたいなんて矛盾
その背中を追いかけて来たのは俺だけじゃなくて、ずっとメンバー誰もがその背中に憧れてるのは知ってる。
誰よりも前を向いて、後ろは振り向かない…遠い未来を見据えて動けるその背中
そのくせ、誰も置いていかない…絶妙な加減でみんなを見守り、時に引っ張り上げる
そんな背中…
俺がなりたかった大人像…
それを当たり前に出来る北山に憧れたのは必然
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作者名:あっぷるしゅがー | 作成日時:2018年11月29日 15時