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K ページ14

店の近くのパーキングに車を止めて少し歩く、あまり街灯もない薄暗い通りを抜けてぼんやりと見えてきたそこには看板もメニュー表のようなものも何も掲げられていない




『この奥だよ…行こう』




こんなとこに店なんてあるのだろうか…




藤 ヶ 谷の言葉に小さく頷いて恐る恐るその後をついて行った




『こんばんはー、あ!小百合さんお久しぶりです』


《あら、いらっしゃい。太輔くん久しぶりね?こちらにどうぞ?》




店の奥から出てきたのは淡い水色の落ち着いた着物にレースの帯と言う何とも粋な着こなしの、涙ボクロが印象的な綺麗な女将さん




小百合さんに太輔くん…




この言葉の掛け合いだけで、どれだけ藤 ヶ 谷がこの店に通っているかわかるし、女将さんのことを信頼しているのも伝わった。




通されたのは1番奥の個室で、そこは4畳ほどの小さな畳敷きの和室




壁にそっと掛けられた掛け軸や、存在感を放ちながらも邪魔をしない生花、少し暗めの照明に、和紙で作られているのであろう優しい橙色の間接照明がとても落ち着く空間で




あー…藤 ヶ 谷らしいな、って素直に思った。




好きなもの頼んでいいからね?と渡されたメニュー表は手書きで、綺麗に丁寧に人柄が滲み出る素敵な文字が並んでいて、それだけでこの店を信頼するに値するものだった。




小鉢や、煮物、焼魚など目に付くものを指差しながら藤 ヶ 谷に伝えると、『北山はそれ選ぶと思ってたよ』とフッと小さく笑われた




ビールと言うよりは日本酒かな?何て考えながらドリンクメニューを眺めていれば、遠慮がちに襖が開き小百合さんが顔を覗かせる




《失礼しますね…そろそろ決まった頃かしらと思って》




小百合さんの言葉に優しく微笑みながら注文をして行く藤 ヶ 谷




俺が頼んだもの以外にも何品かオススメだからと頼んで、まだ飲み物を伝えていなかったのに、北山は日本酒でしょ?なんて勝手に話を進めていく




それならと、小百合さんオススメの東北で作られていると言う日本酒をお願いすることにした




何から何までスマートで…さすがキングだな…と




男相手で、ましてやメンバー相手にここまでスマートに出来る藤 ヶ 谷を素直に格好良いと思った

F→←K



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作者名:あっぷるしゅがー | 作成日時:2018年11月29日 15時

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