Multicolored box

あかとおれんじ ページ10

トコトコトコ


『 ねーねーよこーさん、チューしよ 』


何言ってんのこの子…


突然目の前に現れたと思ったら、物凄い悪ガキの表情で俺を見上げてこんな事


みんながいる前で俺が出来ないのわかっててこんな事言ってくるなんて悪魔だ！


『 よこーさん？チューは？よこーさんがしないなら違う人としちゃうよ？ 』


目の前でぷるぷるの唇尖らせてチュー顏でスタンバイ中


それでも無言を貫く俺からプイッと顔を背け、またトコトコと歩き出したと思えば目線の先にいるのは俺の大親友…


！！！！！！！



「 だめ！みつだめ！！ 」


久しぶりの俺の大声に楽屋中から驚きの視線が一気に集まる…


あっ…やっちゃった…


太輔の前でピタッと動きを止めて物凄く悪い顔して俺を見るその小さい体は何を考えてるのか…


「 ん？北山どうした？ 」

『 藤ヶ.谷にお願いがあるんだけど… 』


不思議そうに首をかしげる親友と、またまた悪い顔でこちらを見る小さい体


俺には聞こえないように太輔の耳元で何やら囁いているその人にいつも翻弄されっぱなし


『 そーゆうことだから！藤ヶ.谷よろしくな！ 』

「 あぁ…分かった。また夜な 」


は？夜って何⁈俺がキスしなかったからって太輔に夜してもらうの⁈マジありえねぇ…


流石の俺も我慢の限界で…多分今物凄く怒った顔してるんだろうな


だって末っ子双子が俺を見て怯えてるから


「 みつ…ちょっと話がある 」


そのまま小さい手を引いて楽屋を出ると少し歩いた先の非常階段へ


扉が閉まったのを確認した瞬間、その誘うような真っ赤な唇に吸い込まれるように自身の唇を重ねた


ほんの一瞬だけ重なった唇はチュっと可愛い音をさせてすぐに離れる


『 渉…足りねーんだけど 』

「 っ…ここ職場 」


突然雄のスイッチが入った恋人はいつもの呼び名に変わってて、その目がもう逃さないって伝えてる


突然ギュッと抱き締められ後頭部に手を添えられたかと思えば深く重なる唇に、俺はもう逃げるなんて選択肢はなくなっていて置いて行かれないように必死について行くのみ


「 んっ…はぁ……っ… 」

『 …渉…っ…… 』


深く深く…この世界には俺達しかいないかのような錯覚


こうして俺はまたこの悪魔から逃げられなくなるんだ


可愛い顔して誰をも欺く悪魔から

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