Multicolored box

おれんじ ページ44

「よこーさん！それ一口ちょーだい！」




椅子を持参でちょこちょこと寄ってきたと思ったら、可愛く口を開けてこちらを見上げる焼きそば泥棒




腹減ってるけど…一口ぐらいならいいか、と思ってその小さい口に入るくらいの分量を放り込んでやれば




「やっぱよこーさんの作る焼きそばはうんまーい！！！」




満面の笑みで頬に手を当てて蕩け顔




毎回この顔が見たくてついつい餌付けしてしまうんだけど




横からジトーッとした視線を感じて振り向けば、親友がなんとも言えない顔で焼きそば泥棒を見つめてる




『太輔もいる？』




自分も食べたかったのかと思って聞いてみたけど即答で"いらない"って返された




焼きそばが欲しいんじゃなければその表情は何？




よく分からないまま焼きそば泥棒に視線を戻せば、なんだかしたり顔で太輔を見てて、余計に訳が分からなくなる




はぁ。。。ってため息が横から聞こえたかと思ったら




「わた♡この前話してた買い物いつ行く？」




もうご機嫌治ったのか？ニコニコいつもの太輔に戻ってて、携帯のスケジュールを開きながら予定を立て始めた




『太輔の都合のいい日でいいよ？』




「じゃー今週の木曜日なんてどう？」




『その日なら夕方には終わるからそれからでも良ければ』



「夕方からならわたが気になってたあの店でご飯食べよう♡」




頭の上に音符が見えそうなくらいご機嫌が戻ったみたいで一安心してたら、今度は反対からまたジトーッと負のオーラを感じる



突然ギュッと俺の左腕に抱きついてきたかと思ったら、ウルウルな瞳で"もう一口ちょーだい"って




そんな顔しなくても焼きそばくらいあげるのに




また小さい一口を放り込んでやれば、嬉しそうに俺の腕を揺らしてご満悦の様子




焼きそば泥棒に構ってれば、太輔のご機嫌は急降下




太輔に構ってれば、焼きそば泥棒が必死にアピール




この2人どうしたの？なんか変だよ？




どっちにも構うのがだんだん面倒になってきて、飲み物を買うことを口実に楽屋を出た。




しばらくして戻った楽屋の空気はなんだかいつもと違ってて、末っ子2人が縋るようにこちらを見てくるけど…何が起きたの？




宮田に視線で訴えれば、冷や汗をダラダラかきながら頭をブンブン振ってて、これは聞くなってことだなと察する




裕太はなんだか楽しそう




「わったーは罪な男だよね〜♪」




何のことだかさっぱり謎だ

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