Multicolored box

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俺を抱く腕はいつも通り優しいのに相変わらず無言のまま続けられる行為に、だんだんと瞳に薄い膜が張る…



『 ひろやだ…こんなの…きらい… 』

「 っ…たいごめん…ごめん…泣かないで 」


泪を瞳いっぱいに溜めた俺に気づいた本日の主役が目が覚めたように慌てて俺を宥めようとオロオロし始めた


『 なんで…こんな…… 』

「 え…俺なんで…マジか…本当ごめん！ 」


今までの記憶がないのか…全裸の俺を組み敷く自分に驚くようにオロオロしっぱなしの姿を見るとこちらの方が冷静さを取り戻して来る


『 覚えてないの…？ 』

「 玄関の鍵開けて…リビングに来たところまではなんとなく覚えてんだけど… 」


申し訳なさそうに後ろ頭をぽりぽりと掻きながら思い出そうとしているのか時折視線が彷徨う


『 あっ！ひろ！今何時⁈ 』

「 うぇっ⁈ちょっと待て…えっと…0:03だな 」


俺の言葉に慌てて壁掛けの時計に視線を合わせて教えてくれたけどマジか⁈日付変わってるじゃん！


『 ひろ！お誕生日おめでとう！生まれて来てくれてありがとう！ 』


慌てて起き上がってギュッと抱きつきながら想いを伝えれば、ギュッと抱き返されて唇が重なる…


暫くの間、隙間なく抱き合い俺の気持ちが伝わる事を願いながらひろの愛を受け止める


ゆっくりと唇が離れると名残惜しいとでも言うように銀色の糸がお互いを繋いでいた


「 たい…ありがとう。本当嬉しい！ 」


俺の大好きな鼻にしわをいっぱい作った飛び切りの笑顔を見せてくれたから、今度は俺が幸せをあげるね？


『 ひろ…今日はひろの好きなようにしていいよ…俺をひろにあげる… 』


耳元に唇を寄せて誘うように囁けば、目の前には雄の目をした本日の主役


さっきまでの怖かったひろも今は忘れてあげる…


その代わり忘れられないくらいに激しい愛を頂戴？


俺をあげるなんて言ったけどいつも幸せを貰うのは俺の方で、俺はひろに幸せをあげられてるかな？


いつもは恥ずかしくて言えない言葉も、行為も今日はいつもより頑張ってみようかな…


君の喜ぶ顔が見たいから


君を喜ばせてあげられるのは俺だけだから


恥ずかしがる俺が可愛くて好きだってひろは言うけど、大胆な俺も好きでしょ？


今日だけ…誰にも見せたことのない俺を見せてあげるね…

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