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06-5 ページ41
智は昔から自分のこと喋るのが苦手だ。
なのに、人のことをよく感じられてしまうから、…いや、むしろ感じられてしまうから、喋ることをやめてしまったんだと思う。
翔さんは、智のことをよく見てたから、智の思ってること全部わかっていた。
おれも、智のことをよく見てたから、この人が相葉さんの結婚報告を聞いて最初に思い浮かべた感情の正体を、もう全部わかってしまっている。
｢…そんなことない、いい事だもん｣
｢相葉さんの結婚？…あなたが、相葉さんの結婚をよく思ってないだなんておれも思ってないよ｣
｢……相葉ちゃん、いい人だし、彼女の子もいい人だから、おいらも嬉しいよ｣
｢分かってるよ、疑ってないよ｣
｢ちゃんとおいらも嬉しいもん｣
｢分かってる｣
背中が震えている。
また智はおれに顔を見せてくれなくなった。
｢………ニノ意地悪｣
｢なんでよ。アンタはたまには自分で自分のこと言わなきゃダメなの｣
｢分かってるじゃん。ニノは全部｣
｢…それでも、自分の言葉で言わないと、練習しないとさ。おれ以外…あの3人以外には、わかんないから｣
智が勢いよく顔を上げる。泣いている。
｢ニノ居なくなるの？…相葉ちゃんも、潤くんも、翔くんも、居なくなるの？｣
｢ならないよ｣
わざと、不安になってる智を不安にさせるようなこと言ってる。
でもね、智は、慣れなきゃいけない。
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作者名：楽斗 | 作成日時：2022年10月18日 21時
