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06-3 ページ39
｢ニノは？最近どうなの、仕事とか｣
酒も進んだ頃、相葉さんが徐にそう聞いてくる。
｢別に、なんてことないよ。変わり映えしない9時5時ですよ｣
相葉さんの目がとろりと溶けている。相葉さんがこんな顔してる時、だいたいおんなじペースで飲んでるおれもそんな顔してる。
酒が異常に強い智は、なんてことない顔をして、仕事部屋に行ってスケッチブックと鉛筆を取ってきた。
椅子に体育座りをして、なにかをスケッチする。酒に酔うといつも智は絵を描く。
｢なに、あんたなんかあったの｣
相葉さんとは中学から一緒だから、分かるんだ。
｢…別に、俺もなんもない｣
｢うそつけよ。なんかあったからおれに聞いてきたんだろ？なに、昇格した？｣
相葉さんが、グラスで顔を隠して、うーんってにやけながら、｢やっぱニノには適わないなあ｣とかいって、姿勢を正す。
｢仕事では、なんもないんだけど。…うん、あのね、結婚する｣
照れた相葉さんに、おれが驚きの声をあげるより前に、智が鉛筆を床に落としていた。
智の顔を見ると、少し震えて、でもゆっくり笑って、｢び、っくりしたあ…｣て言ったあと、
相葉さんを拙い言葉で祝福する。
相葉さんが、全部抱きしめるみたいな優しい顔で頷く。
｢おーちゃん、ありがとう｣
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作者名：楽斗 | 作成日時：2022年10月18日 21時
