おさかなたべたいよ〜[気象NO] (ページ33)

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夏前には、智とは普通に話すようになって。
体育で仲良くなった潤くんや翔さんと5人で休日飯いったり、テスト前には集まって勉強してたりした。

｢加藤先生ってどんな問題出すっけ？｣

｢ちょっといつも捻るよね、物理も応用だろうなあ｣

｢あ、数1ここから出るつってたよ｣

｢え？！森センが言ったの？｣

｢うん。聞き出した。ここだけの秘密ね｣

｢ニノってすげぇ出世しそうだよな｣

｢智くん、目開けたまま寝ないで｣

｢………ん、閉じて寝る｣

｢寝ないで！｣

充実していた。
部活では次の年にレギュラーももらえそうだった。
きっと、この人たちとはこれからも酒飲んで話せるんだろうなって友達もできた。
好きな人もいる。

充実していた。9月まで。

9月、事故にあった。
そんなにおおきな事故では無いけど、車が横から突っ込んできて、肩から手をやった。受身を失敗した手の骨は粉々になってしまって、日常生活は困らないけど、もう力強く握ることは出来ないと言われた。

部活は辞めた。

相葉さんも、潤くんも翔さんも、みんな優しくて、おれもおれで全然落ち込んでないみたいに振舞ってたけど、
少年野球からやって、おれって人間を構成する大きなものがもぎ取られた感覚を、しばらく引き摺っていた。