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冷たいその手を取って
私の部屋の玄関をなっちゃんが開けると着いたのは
子どもの頃よく3人で過ごした懐かしいチャペル。
『懐かしい〜!』
「でしょ?」
とはいえ、彼氏に浮気されてて
別れた場所とは言えない…
でもなんで、彼氏とここに来てた時は
3人で遊びに来てたの覚えてないんだろう…
記憶のズレみたいなのを感じてたけど
それよりも、浮気されてたことよりも
2人との思い出で満たされる。
『よく3人で来たよね』
「うん……ねぇ、A」
『ん?なに?』
「ちょっと散歩」
チャペルの中を見渡す私にそう言って
さっさと外に出るから小走りで後を追いかけた。
.
外に出ても相変わらず懐かしい。
2人がクリスマスに降らせた雪の中、
3人ではしゃいで帰った道。
【Tarte Tatin】って書かれた、
おしゃれなカフェは昔はなかった。
子どもの頃は危ないから出たらダメって言われてた、
憧れのバルコニーも見える。
なっちゃんの横をよそ見しながらフラフラ歩いて
そんな私を見てなっちゃんはクスクス笑った。
「A、危ない」
『なっちゃんが見てるから平気』
「ほんと…変わってないな」
『やっぱなつくんも連れてくればよかったね』
「だな」
どんどん口数が減っていくなっちゃんに
気づいてたけど何も聞けなかった。
聞いたら、何かが終わってしまいそうで。
季節は春で花壇には綺麗な花が並ぶけど
日が暮れれば、少し肌寒くなる。
肩を竦めた私に気づいたのか
「チャペル、戻ろっか」って来た道を戻った。
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なな(プロフ) - 太陽サンサンなつなつさんさん» もったいないくらいの素敵なコメントありがとうございます!そんな風に色々考えて読んでいただけて私の方が感謝です😭もう読んでくださってるかもしれませんが、If Destinyでその後を更新してるのでよければそちらもぜひ☺️本当にありがとうございます! (10月5日 20時) (レス) id: ecac200247 (このIDを非表示/違反報告)
太陽サンサンなつなつさん - 読み終えた私のこの心情を上手く言葉にできない事がもどかしいのですが、ななさん、当たり前に感じてしまうが、本当は尊い筈のこの毎日を抱きしめたくなる、こんな胸を締め付けられて、でも温かい気持ち日になる素敵なお話を綴って下さり、本当にありがとうございます。 (10月5日 0時) (レス) id: 306747e438 (このIDを非表示/違反報告)
太陽サンサンなつなつさん - ただただ涙を零し、展開によっては、やった!なんで!?と一喜一憂をしながら読み続けていました。この世界にはきっとどこかでこの御三方のように、一生懸命に闘っておられる方もおられるんでしょうね。どうか、どうか救われる結末であってほしいものです…。 (10月5日 0時) (レス) id: 306747e438 (このIDを非表示/違反報告)
太陽サンサンなつなつさん - お使いさん、あしながさんは一体どんな存在なんだろうと拝読しながらずーっと推理していたのですが、本当にまさかでした(;_;)私の中では皆救われたんじゃないかなと思う一方でやっぱり切なくもあり、堀さん、澤さん、世界さんをみると勝手に込み上げてきそうです(;_; (10月5日 0時) (レス) @page50 id: 306747e438 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - naaana425さん» コメントありがとうございます!こんな一小説でそんな風に思っていただけて嬉しいです!深く考えず書いてたのでもったいない言葉過ぎます!こちらこそ本当にありがとうございます! (2021年7月28日 22時) (レス) id: 2f6d0c373f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なな | 作成日時:2021年1月2日 22時