Dear Destiny ~僕が見える君と~

1番身近な存在 ページ48

僕らに睡眠は必要ないけど
眠る行為自体はする。




その日は珍しく頭が痛くて
少し休もうと、ソファーに倒れ込んだ。


仰向けになって自然と落ちた瞼を手で覆う。





ポツポツと雨が窓に打ちつけられる音がして
君が雨を降らせた日を思い出す。


規則正しいその音に、いつの間にか意識を手放した…









.









.









『な……くん！』









……ん？なに？









『なつく…ん！』








だれ…？呼ばれてる？








『なつくん！』









え？僕のこと？









夢の中で誰かが"なつくん"を呼ぶ。









『なつくん！なっちゃん！おはよー！』



「おはよ」



「ん、おはよ」







笑顔で駆け寄ってきた女の子に
2人の男の子は短く挨拶を返した。









なつくんって呼ばれてるのはきっと僕で…







なっちゃんって呼ばれたのは……ナツキ？








僕らに駆け寄ってきたその子は……






ぼんやりしたイメージだったけど





この子を知ってる…





でも名前は思い出せない…





夢の中の僕はその子のことを
名前で呼んでるのに聞こえない…









でもだんだんはっきりしてくる輪郭に
見覚えはあった。







夢に君が出てくるなんて…





嬉しいけど、潜在意識に君がいるってこと？





僕の中で君の存在が大きいのは確か。









ただ、夢の中の君は
今の姿じゃなくて少し幼く見えて…




それに、この場所……君と会うチャペル？




行ったことないはずなのに…







これ、本当に夢？



妙にリアル…



誰かの記憶？



そんなわけ…



なんでナツキと君が…








この日から僕は君とナツキが出てくる夢を
よく見るようになったけど


僕にとって一番身近な存在の君とナツキが
夢に出てくるのは当然な気もして
あまり深く考えなかった。



夢はなんでもありだから。

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