#31 ページ32
…
『てっちゃん。』
て「いや、ダメです。」
サブチャンネルにて、交際の発表を行いたいのに、兄の承諾が降りない為に撮れない。
ならば、兄を撮ってしまおう。
サブチャンネルの編集は私が請け負うことが多いし、
拗ねてる兄を撮ろう。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
『お兄ちゃん。そろそろお許しが欲しいのですが…？』
新しい家も、だんだんとホコリが溜まったり
荷物があちこちにあるし、ゴミも袋に入れられたまま、廊下の足場を無くしている。
そんな家を綺麗にしたら、兄の説得に入る。
て「んぅ……ダメです〜」
ダメかぁ
て「……」
作業を止めて、ちらりと私を見た兄は
少し上目遣い。
子犬みたいだった。
て「……Aはとしみつといて幸せ？」
結婚前に同居を始めた頃から
兄は毎日連絡するようになった。
『勿論、幸せだよ。』
私の目をじっと見て、確かめるように、
真実を見抜くように。
諦めたようにパソコンと向き直ってまたため息を着く。
ダメかな……
と、その一部始終を見ていたりょうくんが兄に声をかける。
り「どうだった？A嘘ついてそう？」
？？？
て「めちゃくちゃ本音だった。」
どうやらりょうくんもカメラを回していたみたいで、
りょうくん曰く、
て「Aが、嘘ついてたら絶対見抜けると思ってる。」
という言葉から始まったらしい。
ーー
て「……ぃぃょ。」
『ふぇ？』
て「…としみつとの…あれ。いぃょ」
語尾が小さくなっていくけど、しっかりと証拠は残した。
『ありがとう。お兄ちゃん！』
て「ちゃんと俺のとこにも帰ってきて…？、」
泣いてる兄に、抱きつくと、優しく抱き返される。
壊れ物みたいに、優しく。
…
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作者名：芽柚 | 作成日時：2019年7月9日 15時
