番外 2Bのいつも。 ページ9
一日の練習が終わり、風呂から上がって部屋へ戻ろうとしていた時、倉持と御幸にコンビニへ連行された。連れションならぬ連れコン。
せめて要件を先に言え、とは思ったけど。
無言で両脇固められていきなり連れてかれんの、知った仲でも怖いっての…
「お前らが連行したんだから、俺の分奢れよ？」
「は？何でだよ。自分の欲しいもんは自分で買え。」
倉持の言葉に御幸が「そうだそうだ〜！」と適当に賛同してくる。
どうせ何言っても買ってくれないろうし、諦めて俺はパピコ購入し、未だ悩む2人を待ちながら雑誌コーナーをうろついていた。
「…お」
そこでふと目に止まった1冊の女性向け雑誌。そこには表紙の男が上半身の筋肉美をチラつかせながら、「女心とは」「恋愛とは」なんて、俺らには今の所無縁な語録と共に写っている。
大量に並べられた雑誌の中で、何故それが目に入ったのか。
それはただ表紙の男が若干御幸に似ていて、何かムカついたからだ。
御幸は認めたくは無いが俗に言うイケメン。
お前なんて恋愛の「れ」の字も知らない癖に！女泣かせ野郎！顔だけ男！…なんてまあ完全なる八つ当たりですけど何か？
「なにA、お前好きなヤツでもいんの？」
買い物を終えた御幸が、雑誌をじっと見つめる俺の顔をひょこっと覗き込む。
「いや、いねーよ？ただこいつが………ぁー、いや、なんでもねえ。」
「おいおい、そんな気になる所で止めんなよ？」
なんだよ、俺に隠し事かー？なんてしつこく聞いてくる御幸を手で軽くあっち行け、と追い払い、別の雑誌を手に取る。
お前に似てたから、なんて間違えてでも言ってみろ。「え〜？まあ確かに？俺、顔は良いからな〜？」なんて調子に乗り出す光景が思い浮かんでしょうがない。ので死んでも口には出さねえ。
「お前らコンビニで騒ぐんじゃねェよ。おら、
さっさと行くぞ！」
いつの間に買い物を終えた倉持が、コンビニ袋で俺をぶっ叩き、御幸の足に蹴りを入れた。
「いや、完全に倉持待ちだったんですけど…」
「あ？なんか言ったかよ。」
「ｲｴ、なんでもないですう」
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作者名：ぜんざい | 作成日時：2023年8月1日 21時
