7話 感謝は大事。 ページ8
そこからはもう青道高校二軍の快進撃と言っても過言ではなかったと思う。
クリス先輩のレフト前ヒットに、沢村のナイスバント(笑)
これには俺も御幸も、行かないとか言ってた癖にいつの間にか居た倉持も、皆が口をあんぐり開けて驚いていた。
それに続いて、春市の変幻自在のバットコントロール。
…こいつ本当に1年生かよ？
「センスに関しては亮さんより…」
そこまで口にして、俺はハッと口を抑え辺りを見回す。
倉持は幸い聞こえる距離に居なかったため、セーフ…だが御幸にはバッチリと聞こえていたようで。
「…貸1な？♡」
人差し指を口に当てて、にしし、と無邪気に笑う黒縁メガネのガキンチョこと、御幸一也。
くそ…よりによって聞かれた相手が最悪だった…
要約すると、今のは亮さんにも倉持にも黙っててやるから俺の言うこと何でも聞けよ？って事なのだろう。
「ハーゲンで良い…？」
「俺甘いの好きじゃないから、マッサージな」
最近あいつらが球捕れってしつこいから疲れちゃって…なんてわざとらしくおじいちゃんの様に肩をさする御幸。
「しょうがねえな。普段女房役でお世話になってますので？Aさんが一也くんの心と体を癒して、天国を見せてあげようじゃないか」
「よくそんな恥ずかしいセリフさらっと言えるなお前…」
「は？感謝を素直に受け取れない奴に今後リードなんてされたくないんですケド〜」
「ごめんって(笑)今日自主練付き合ってやるから機嫌直せよ〜」
最近1年にばっかり構って俺の球全然捕ってくれなかったのを根に持ってるの、完全にバレてるなこれは。
「後輩からも大人気な御幸選手は投手なんて選び放題で羨ましいですね！！！俺も練習したい変化球あったのにな！！」
「はっはっは！拗ねんなよ！(笑)」
完全に遊ばれてる！！ムカつく！！
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作者名：ぜんざい | 作成日時：2023年8月1日 21時
