2年B組な俺達。【♦︎A】 (ページ5)

今日:6 hit、昨日:15 hit、合計:2,404 hit

4話期待の新星。ページ5

「自主練付き合うのは構わないけど、今日は御幸じゃなくていいのか？」
「ぐぬぬ……！き、今日は降谷の番なので……」

…あ〜、すっごい顔に出てる(笑)
言いたくないんだろうなあ、キレられたこと。
これでもかと言うくらい歯を食いしばり、眉間に皺を寄せ唸っている。飢えた猛獣かよマジで。

「俺でお役に立てるのであれば全然いいけどさ。ただ俺と沢村って、投手っていうポジション以外何もかもタイプが違うからなあ」

「確かに。A先輩って栄純くんとは真逆で、プレイ中も常に落ち着いてるし安定感があるというか…」

「おいどういう意味なんだそれはーー！！！」

沢村に肩をぐらぐらと揺らされる春市を無念に思いながら、自分で言うのもなんだが、確かになあと春市の意見に賛同する。

「まあただ、沢村みたく奇想天外で意表を突くようなプレースタイルの方が、俺が敵なら嫌だけどね。」

俺の言葉によってピタッと動きを止めた沢村は、「いやー！！そんなそんな！！俺なんてまだまだッスよー！！」と言いながらも満足気な表情。

…可愛いやつだなほんと。

沢村は、ムービングボールを無意識で投げる上、天性の肩の柔らかさによって、ギリギリまでボールの出処が分からない。球速がそこまで無いとは言えど、やりづらいったらありゃしないよなあ。

「お前は降谷とは違う持ち味があるんだ。もっと自信を持ってもいいんじゃねえの」

そう口にして、少しだけ高い位置にある沢村の頭をぐしゃぐしゃ、と撫でてやる。

「ぉわっ、！何するんスか！！！」なんて大声で誤魔化してはいるけど、図星だな。

ただ、降谷みたいな奴が同年代に居るからこそ、沢村は今後より成長出来るだろうし、それは降谷も同じ。
沢村はめちゃくちゃライバル視してるみたいだしな(笑)

「はは、俺も負けてらんねー」
「そうッスよ！！A先輩をも越して、俺はエースになるんですから！！！」
「ち、ちょっと栄純くん！…すみません、A先輩。」
「いや、気にすんな。じゃ、また後でな」

騒がしい沢村と、それを制止する春市を背にしてヒラヒラと手を振る。

…俺も頑張らないとやばいかも、なんて珍しく本気になってる事が御幸と倉持にバレたら、めちゃくちゃ弄られるだろうなあ。