ろく ページ6
それから次の日も、その次の日も、彼女は手作り弁当を持ってきた。
それをトントンに渡すのは良く見る。が、最近は受け取っただけで食べるのを見ない。
友人だからって、そんなこと口出しする気はないが、可笑しい。
前は彼女と一緒に、彼女の目の前で食べていたのに。
話を聞いてみるに、｢味が変｣……らしい。
丁度弁当を持っていたので｢食うてみる？｣と聞かれ試しに一口、もらってみた。
｢げえっ。何や、この味。まっずぅ｣
｢せやろ？ 本当、ここ最近なんや。こんな味になったの｣
トントンははぁ、と嘆息しそう呟いた。
確かに、味が変だった。口に入れた途端、吐き出してしまった。
｢ってかAさんいたらヤバいんちゃう？｣
因みに、ここは1-Dの教室。
彼女とは同じ教室なので、作ってくれた料理を吐き出した所を見られたら……。
｢あぁ、それは大丈夫やで。今、Aさんいないんや｣
キョロキョロと警戒し辺りを見回す俺にそう言うトントン。
なら、良かった。……いや、良かったと言ってええのか？
｢にしてもこれ、一体どうしたらこんな味になるんや……｣
ぎっちり詰められた弁当箱を見ながらそう呟く。
弁当の中には、アスパラの肉巻きや焼き魚、メインには肉じゃがが入っていた。その他色々。
でも、何て言うんやろうか。この、言葉で表すのが難しい味は。
鉄？ 少し錆びた鉄の味がして、生臭い肉の味がするような。
｢お゛ぇっ……アカン。何の味か予想しただけで気分悪なる｣
｢なんか、すまんな。食べさせてしもて｣
｢いや、俺が味見する言ったんやからトントンは悪ない｣
トントンは申し訳ないようにそう言う。少ししてまたはぁ、とため息をついた。
なんかこっちまで申し訳なくなってくるやんか。
｢口、ゆすいでくる｣
｢おん。いってら｣
口の中がベタベタして気持ち悪いのでゆすぎに行こうと席をたつ。
このままじゃロクに授業なんて受けられんからな。
トントンが大先生にあの弁当を渡しているのを余所目に、俺は教室を出た。
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ぐりんてぃ(プロフ) - ｢シーリル ドイツ語｣って打ったら出るかなって調べたらでなかったのでここで答え言います。｢シーリル｣とは｢白羽｣という意味です (2020年11月23日 21時) (
レス) id: 0dfba79748 (このIDを非表示/違反報告)
ぐりんてぃ(プロフ) - なコさん» あ！？ あ、ありがとうございます！ 更新頑張りますね！ (2020年11月1日 12時) (レス) id: 0dfba79748 (このIDを非表示/違反報告)
なコ - あ"〜かわぇー！なんでこんな神作品作れるんですか〜！！更新待ってんるで頑張って下さい！ (2020年11月1日 12時) (レス) id: 5cc4ee344d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぐりんてぃ | 作成日時：2020年10月22日 22時
