48.“限界” ページ48
「くそっ、くそっ…こんなはずでは…こんなはずではぁあっ！」
ボールへの魔術の行使は認められているのに、アズくんがそれを行う様子はない。苛立ちによって集中力がばらつき、まともに炎を出すことも難しい状態なのでしょう。何故彼がそこまで動揺しているのか、私にはイマイチ理解できません。
サブノックくんにだけは私は渡さないと、彼はそう啖呵を切りました。だけれど彼がそこまで私にこだわっているとはどうしても思えません。彼は私のことを心配してはいたけれど、それほどまでに仲を深めた覚えもありません。
一人、また一人とチームメイトが対決の餌食になり、気付けば生き残りは私とサブノックくんと入間くん、それにアズくんの四人になりました。
Aチームの勝利にリーチが掛かり、その事実が動揺するアズくんに追い打ちをかけます。追い詰められたアズくんは、
「くそがあああああっ!」
ぷちっ、と。限界を迎えてしまったようでした。
ボールが勢い良く燃え上がり、それは彼一人しか陣地内にいなかったからこそ彼のチームメイト達は被害を免れていました。
今の彼は自らの炎を制御し切れていない。アズくんのスピードボールを避けることはサブノックくんには難しいし、仮に避けられたところで今度は外野にいる彼らに被害が及ぶかもしれません。
受け止めるしかない。
火傷のひとつやふたつは覚悟してアズくんとサブノックくんの間に立ちはだかれども、今は正気でないアズくんはブレずにボールを振りかぶりました。
「サブノック君!!」
「おうよ！！」
力強く抱き上げられ、視界に映ったのはサブノックくんの顔でした。
咄嗟に下を見下ろせば、先程まで私がいたそこには入間くんがいます。
「入間くん！！」
「下がるぞA！」
「え、きゃあっ？！」
ぐん、とサブノックくんが入間くんから距離を取ったかと思えば、次の瞬間には入間くんがあのボールを抱えているのが見えました。
あのボールは入間くんに受け止められるボールではありません！
案の定ボールは入間くんの手のひらを焼き、入間くんが痛みに声を上げます。早くボールを手放してほしいと、私は神に祈りました。
──けれど、入間くんは無策で間に割って入ったわけではありませんでした。彼はぐるりと体を一回転させて炎やボールを受け流し、それをそのまま、アズくんに投げ返したのです。
アズくんが我に帰ったのは、そのボールが我が身に迫ってきてからでした。
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ako(プロフ) - 最高すぎてやばいですえ、すきです。脇役のこの子可愛い！！！更新頑張ってください！応援してます！！！ (2020年5月19日 17時) (
レス) id: 444283ccfe (このIDを非表示/違反報告)
脇役(プロフ) - チョコレートさん» あんまり褒められちゃうと私調子乗っちゃうから程々がいいんですよ！←ありがとうございますwまったり続編をお待ちいただければ幸いです！ (2020年2月1日 19時) (レス) id: bd1474991a (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート - え、好き(唐突)ヤバイすごい無理面白い(語彙力)ｹﾞﾎﾝ…初コメの初っぱなからスミマセン…これから更新頑張ってください！応援させて頂きます！ (2020年2月1日 15時) (レス) id: dcdae6c8af (このIDを非表示/違反報告)
脇役(プロフ) - 藤の花さん» そんな私率直な言葉に弱いんです////すいませんありがとうございますｗ設定の盛りっぷりには賛否あるかと思いますが、楽しんでいただけたようで何よりでした！ぼちぼちやって参りますので、続編もお楽しみに☆（ (2020年1月28日 15時) (レス) id: 0706dee424 (このIDを非表示/違反報告)
藤の花 - 脇役さんに惚れました(直球)すごい設定も物語もつくりこまれてて、一話一話ワクワクしながら読ませていただきました。お体に気をつけて自分のペースで更新頑張って下さい！続編楽しみに待っています！ (2020年1月28日 15時) (レス) id: 17c70a6373 (このIDを非表示/違反報告)
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