脇役は悪魔化して魔入る。

47.“専念” ページ47

「……あらら…この展開は流石に私にも想定外です。」

「ふふふ…ヌシも罪な女よの。だがしかし！彼奴までもがヌシに懸想しているというのなら、こんなに愉快なことはない！！！」


ひょいと私を抱き上げたサブノックくんは、軽々と私を肩に乗せてしまいます。流石サブノックくん、巨体です。


「A。今のヌシは、己の味方だな？」

「勿論です。」

「なれば良し！！彼奴の鼻っ柱をへし折るぞ！」


…それはアズくんのプライドをへし折ってやろう、っていう解釈で良いんですよね？まさか文字通りの物理ですか？


「ふふふ。己としてはどちらでも構わん！」

「私が構うんですってば。後者なら私は乗りませんよ？」

「ぬう、律儀な奴だの…ならば前者だ。」

「了解致しました。」


すう、と心を静かに落ち着け、私はサブノックくんの頬をそっと撫でてやります。私としては頭を撫でてみたいのですが、彼の頭はトゲトゲなので撫でられません。

魔力は使っていません。ただ、あの時のことを思い返しているだけ。でも──ただそれだけでも、十分です。

それだけ、あの時のやりとりは濃厚だったから。


「…ふふっ。楽しそうですね、サブノックくん。」

「ああ！今の己は、心底楽しいぞ！よもや彼奴のあの顔をこんなにも早く引き出せると思わなんだ！往くぞ者共、我らに続けィ！！！」


≠


「あんま無理にボールを取りに行こうとするなよ、Aのサポートに徹しろ！取り損ねたボールだけでいい、取れたらサブノックに回せェ！！」

「うふふ、クララちゃんのボール量産で楽しい感じになりましたねえ」

「どれが処刑玉砲のボールか分からんぞ！！」

「はい、どうぞ。こちらがそのボールですよ」

「うむ！」


いつの間にか処刑玉砲はサブノックくん対アズくんの対決の様相を呈し、元よりパワーや技術で及ばない私達は彼らのサポートに回りました。私も戦闘能力についてオペラさんからお褒めの言葉をいただきましたが、純粋なパワーはサブノックくんには敵いません。

何より他の彼らは、この対決を観戦し楽しんでいる節がありました。巻き込まれたくないからと観客を装うのはある種賢い選択かもしれません。


「ちょこざいな…！貴様は女に守られなければまともな攻撃も出来んのか！」

「ふん、違うな！護りをAに預けているから、己は攻撃に専念できるのだ！！他を軽んじるお前に同じことは出来まい！！」


今のアズくんは焦り、苛立ちを隠せていませんでした。

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