35.“視野の広さ” ページ35
「そして…A様。私は貴方を役割に据える前に、ひとつお尋ねしたいことがあります」
「……は、はい。」
「恐縮なさらずに。お説教ではありませんので」
「…はい。」
余程私の顔が強張っていたのか、オペラさんが徐に私の頭を撫でてくれました。表情が殆ど変わらない方ですが、彼はいつも私に気を配ってくれます。
緊張した心が解れたところで、オペラさんはひとつ頷いて口を開きました。
「A様。私は貴方の戦闘能力の高さに、心底驚きました」
「…えっ？」
お説教ではないと言われて安堵したものの、まさか褒められるとも思っていなかった私は思わず呆気にとられてしまいました。
けれどオペラさんのその眼差しは揺るぎなく、冗談の類を言っているようにも思えません。
「A様には戦略の知識など何もない。それは当然のことです、貴方は元々は人間で、戦いとは無縁のところで生きていた。それなのに何故、と、私は何度も疑問に思いました」
「…そ、そんなに、ですか？」
「ミュウツーとミュウとの戦闘訓練を続けることが出来ている、というのはそういうことなんです。勿論主人に対する手心もあったでしょうが、主人が望んでいるからこそ彼らは貴方に対する過度の手加減は出来なかったはず。
──なのに貴方は二人からの攻撃を受けて、致命傷を受けるには至っていない」
じっと私を見つめてくるオペラさんの眼差しは、まるで私を探るようでした。訓練の時の私はほぼ無我夢中でしたから、それが何故、と問われても明確な答えを返すことは出来ません。
「次第に私は戦闘訓練の際、貴方の行動をじっと観察するようになりました。貴方のその強さがどこから来ているのか、私はそれが知りたかった」
「………」
「…そうして解ったことが、ひとつ。A様…貴方は、視野の広さが異常なんです」
「…視野の、広さ」
「ええ。訓練の際の貴方は、ミア様が行う死角からの攻撃さえものともしていなかった。いえ、受け切れていないことは多々ありましたが、どこからどんな攻撃が来るか、貴方は理解しているような振る舞いをしていたんです」
「……そう、いえば」
身に覚えがないわけでは、ありませんでした。無我夢中でもその際の記憶は勿論私の中に残っています。
でも、それが何故か、というのは、やはり私には分かりません。何故か私は、後ろからの攻撃に反応することが出来ていました。
後ろからの攻撃も見えていたかのように、私は理解していました。
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ako(プロフ) - 最高すぎてやばいですえ、すきです。脇役のこの子可愛い！！！更新頑張ってください！応援してます！！！ (2020年5月19日 17時) (
レス) id: 444283ccfe (このIDを非表示/違反報告)
脇役(プロフ) - チョコレートさん» あんまり褒められちゃうと私調子乗っちゃうから程々がいいんですよ！←ありがとうございますwまったり続編をお待ちいただければ幸いです！ (2020年2月1日 19時) (レス) id: bd1474991a (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート - え、好き(唐突)ヤバイすごい無理面白い(語彙力)ｹﾞﾎﾝ…初コメの初っぱなからスミマセン…これから更新頑張ってください！応援させて頂きます！ (2020年2月1日 15時) (レス) id: dcdae6c8af (このIDを非表示/違反報告)
脇役(プロフ) - 藤の花さん» そんな私率直な言葉に弱いんです////すいませんありがとうございますｗ設定の盛りっぷりには賛否あるかと思いますが、楽しんでいただけたようで何よりでした！ぼちぼちやって参りますので、続編もお楽しみに☆（ (2020年1月28日 15時) (レス) id: 0706dee424 (このIDを非表示/違反報告)
藤の花 - 脇役さんに惚れました(直球)すごい設定も物語もつくりこまれてて、一話一話ワクワクしながら読ませていただきました。お体に気をつけて自分のペースで更新頑張って下さい！続編楽しみに待っています！ (2020年1月28日 15時) (レス) id: 17c70a6373 (このIDを非表示/違反報告)
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