18.“地力” ページ18
「まったく…お前はどれだけ異例を作り上げれば気が済むんだ」
「それが害とならないのならどこまででも。手札は人知れず増やしておいた方が身の為ですよ?」
呆れた顔をしてため息をつくアズくんにくすくす笑い、私はシアの腕に腕を絡めて身を寄せます。
彼自身も私からの接触を嫌がることなく、柔らかく甘んじてくれていました。
「こんな頼もしいひとが使い魔になってくれたんですから、頼らないと損です。彼がこれまで出来なかったことが出来るようになるなら、それに越したことはありませんし…ねえ?」
『…そうだな。少なくとも、私も彼女が望むだけの柔軟性は手に入れなければならん』
「貴方は彼女を甘やかしすぎています。危険な目に遭うかもしれないのは貴方だって同じでしょう?」
『それが使い魔の本懐だ。彼女が望むなら私は死地へも向かおう』
「ふふふ…そうですね。二人で死地に行って、そうして生きて帰りましょうか。」
『…お前がそれを望むならば。』
私は決して死にたいわけではなく、むしろどちらかと言うと生きたいものですから。だから私は、死地へ向かえども死ぬつもりはないのです。
そんな私の発想が意外だったのか、分かりやすく驚いた顔をしたアズくんは少し言葉を失って沈黙しました。
「うわ〜、Aアズアズよりすごいんだ?!」
「滅相もありませんよ。偶々シアと契約できて、偶々シアと相性が良くて、偶々シアと深く繋がれただけです」
「偶々もそこまで続けば最早才能だ。嫌味でも言っているのかお前は」
「そんなこと!アズくんはご自身で名を馳せているんですから、私とは比べようもありませんよ」
血統付きのアズくんは、まず今までの功績や信頼性が異なります。能力値はもちろんずば抜けていますし、母親が魔界の重鎮の一人ですし、もちろんそれ相応の努力もしてきたでしょう。
「地力が違うんですよ、アズくんは」
「じりき」
「はい。私は親も分からない野良悪魔だから、日々生きるのに精一杯。勉強をしようだなんて頭もありませんでした。でもアズくんは違います。血筋に甘んじることなく、むしろ血筋に相応しい悪魔になろうと努力を欠かさなかった。だから今、アズくんは素晴らしい悪魔です」
「……素晴らしいは言い過ぎだ。まだ学ぶべきことがあるから、私はこの学園に来た」
「うふふ。…私はシアとひとつになってやっとスタート地点。まだまだ未熟者ですよ」
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ako(プロフ) - 最高すぎてやばいですえ、すきです。脇役のこの子可愛い!!!更新頑張ってください!応援してます!!! (2020年5月19日 17時) (レス) id: 444283ccfe (このIDを非表示/違反報告)
脇役(プロフ) - チョコレートさん» あんまり褒められちゃうと私調子乗っちゃうから程々がいいんですよ!←ありがとうございますwまったり続編をお待ちいただければ幸いです! (2020年2月1日 19時) (レス) id: bd1474991a (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート - え、好き(唐突)ヤバイすごい無理面白い(語彙力)ゲホン…初コメの初っぱなからスミマセン…これから更新頑張ってください!応援させて頂きます! (2020年2月1日 15時) (レス) id: dcdae6c8af (このIDを非表示/違反報告)
脇役(プロフ) - 藤の花さん» そんな私率直な言葉に弱いんです////すいませんありがとうございますw設定の盛りっぷりには賛否あるかと思いますが、楽しんでいただけたようで何よりでした!ぼちぼちやって参りますので、続編もお楽しみに☆( (2020年1月28日 15時) (レス) id: 0706dee424 (このIDを非表示/違反報告)
藤の花 - 脇役さんに惚れました(直球)すごい設定も物語もつくりこまれてて、一話一話ワクワクしながら読ませていただきました。お体に気をつけて自分のペースで更新頑張って下さい!続編楽しみに待っています! (2020年1月28日 15時) (レス) id: 17c70a6373 (このIDを非表示/違反報告)
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