08.“キュラソー” ページ8
「キュラソー。お加減は如何ですか?」
「え、あ…えっと。暖かい、です。」
「今日のお夕飯はシチューですよ。また感想、聞かせてくださいね」
私達を強襲した彼らを飼い繋ぐ地下牢。地下牢とは名ばかりの代物だ、とはジンの酷評です。
鉄格子はありますし普通の部屋に比べて家具も娯楽も少ないですが、それでも彼はこの部屋をそう評するのです。
…ないわけではないから、なんでしょうけど。
「……あの、どうしてこんな、良くしてくれるんですか?私達は、貴方を傷付けようとしたのに」
「…うふふ。貴方達に負けない確信があったから、ですかね。私達は悪魔と使い魔、例え拳銃を向けられようと弾丸を止めてしまえばどうということはない」
今回のことは、アンフェアな戦いでした。
「……それに、貴方がたの元ボスの遺体の側には魔法陣があったでしょう?薄々彼が何故死んだのか、上層部はお気付きだったのではありませんか?──ねえ、アイリッシュ。」
「……あんたの言うとおりだよ。俺達は組織の連中があんたの力量を測るための鉄砲玉だった」
キュラソーとアイリッシュの部屋は並んでおり、壁の一面が鉄格子では話の内容を筒抜けです。だから、私は端から彼にも尋ねるつもりでした。
彼らの呼び名を尋ねたとき、彼らの返答にそれはもう驚いたものです。年若い青年とキャンティと同い年くらいの少女の組み合わせは珍しいもので、つい疑問に思っていたものですから。
「奇しくもそんな貴方達を私が囲った…ふふ、今頃あちらは大騒ぎでしょうね」
「どうだかな。俺達は所詮下っ端だ、やっぱり死んだか、っつって切り捨てられて終いだろう」
「はあ。悪の組織ってそういうものなんですねえ」
まだ幼いキュラソーの頭を撫でながらそう相槌を打つ。幼いながらに大人びたキュラソーは大人しく私に撫でられてくれている。
彼女も、私の子供達と同じように買われた存在だったのか。あの色の薄い独特な片目は既に顕在していて、綺麗なキュラソーの面影もあります。
「人件費やら維持費やらも安かないからな。まだ大した組織じゃない上に取り纏めてたボスが死んだんだ、大層苦戦してんじゃねえかね」
「ああー…原因は私でしたから、あんまり笑えない話ですねえ」
「…いっぺん聞いてみたかったんだがよ。あんたが本物の悪魔だってんなら、ボスがあんたを召喚したんだろう?どうしてボスは死んだんだ?」
元々あの方の元に所属していたのなら、それは当然の疑問でした。
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さゆゆ☆ - 更新楽しみにしてます。私もあまり頻繁にチェックできないので、ゆっくり頑張ってもらうので十分です。 (2020年4月25日 11時) (レス) id: ac463600dc (このIDを非表示/違反報告)
脇役(プロフ) - さゆゆ☆さん» あまり更新できてなくてまた触りくらいですが、お楽しみいただけたようで嬉しいです!ありがとうございます! (2020年2月9日 11時) (レス) id: 4a51d3eb98 (このIDを非表示/違反報告)
さゆゆ☆ - 面白かったです。 (2020年2月9日 8時) (レス) id: ac463600dc (このIDを非表示/違反報告)
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