.4話. ページ6
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真向かいに女が引っ越してきてから数日。
「坂田さん結婚してください」
「付き合ってください」
「結婚しましょう」
「結婚」
毎日毎日、何通もの張り紙が家の前に張り出されるか扉の隙間から入れこまれ、玄関に落ちていた。
「銀ちゃぁん 大丈夫アルか」
「近藤さん達に相談しましょうよ」
「ストーカーにストーカー被害の相談してどうなる
放置しときゃそのうち飽きてなくならぁ」
いつもの席に座りながら読んでいたジャンプを顔に乗せて目を閉じた。
ここ数日、正直眠れていない。
どこに行くにもあの女は居るし、
コンビニ店員だと聞いたのに甘味処で働いているし、
甘味処で働いているかと思えばファミレスで働いているし、
正直恐ろしくて夢にまで出てきたくらいだ。
「くそお...仕事もねぇわストーカー被害に合うわ
ついてねぇ...」
一眠りしようと顔からジャンプを退かした瞬間、
目の前にあの女が飛び込んできた。
叫びにならない叫び声が出たかと思うと俺は頭から落ちていた。
痛みに目の前がチカチカとしたがそんな事よりもだ。
「何 人ん家に勝手に上がり込んでんだ!!」
「新八君と神楽ちゃんが入れてくれましたよ」
「何してんだてめぇらァ!!」
素知らぬ顔でそっぽを向く二人。
つかなんでこの二人の名前も知ってんだよ。
「あ 今どうして二人の名前知ってるかって思いました?」
うぜぇ。
心底ウザイ。
「坂田さん自身のことも坂田さんの周りの人間も全て調べましたよ
身長体重生年月日星座血液型」
頬に手を当ててうっとりと話をする女を蹴り飛ばす。
見事に壁にぶち当たった。
「キモイわ!!呪文か!!」
「何するアルか銀ちゃん!!」
何故か女を庇う二人。
いやさっきまで俺の味方してくれてたじゃん。
どんな手のひら返し??
「仕事持ってきたんですけれど 要ります?」
鼻血を出しながら懐から厚みのある封筒を出す女。
その封筒ごと女の手を包み込んだ。
「是非 喜んで」
「結婚します?」
「それは無理」
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作者名:捺稀 | 作者ホームページ:
作成日時:2019年2月18日 7時