Urt ページ21
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無事に結婚式を終えた夜、大きなベッドに身を寄せ合う。Aのドレスを選んだり、結婚式場を選び、誰を呼ぶか話し合って、籍を入れて、あっという間だった。
時間は目まぐるしく過ぎていったはずなのに未だに夢心地な俺は、この幸せは現実であると確かめるようにAを抱き締める力を強める。まだ起きていたのか、もぞもぞと動くA。
「…眠れないの?」
「ん、まぁ…」
「よしよし」
幾つか年下であるはずの彼女に背中を叩かれ酷く安心し、彼女に対して愛おしいという気持ちが溢れる。
「A」
「なーに」
「…愛してる、ほんとに」
「…泣かないで、うらたくん」
返ってきたのは予想していたような言葉ではなかったけれど、優しい声だった。「泣いてなんか、」と返そうとすれば頬が濡れる感覚。情けない事に一度それを自覚してしまえば、口から漏れるのは嗚咽ばかりで。
何処か泣きそうな表情をしながらも俺の頬へ手を添えたAに口付けられる。まるで、これは夢じゃないとでも思わせるように。
幸せであることを強く実感しながら、彼女と夜を共にした。
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mi(まい)(プロフ) - 林です。嘘です。さん» 切ないお話を書きなれてないのでそう言って貰えて凄く嬉しいです、ありがとうございます( ;_; )! (2020年5月26日 17時) (レス) id: 0f8661bfd1 (このIDを非表示/違反報告)
林です。嘘です。 - 3番目の切ない感じが好きです! バッドエンドとかが少し好きなので、私の好みでグッときました。 (2020年5月25日 2時) (レス) id: aa4022e14b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mi(まい) | 作者ホームページ:http://twitter.com/muikrn
作成日時:2020年5月23日 3時