22話 ページ22
「ねぇねぇ不死川さん、どうしよう。」
「何だ?」
「……目に入るもの全てがAに似合い過ぎちゃうから選べないんだけど。」
「末期だなァ。」
駄目だよ全部似合っちゃうとかA…駄目でしょ…と呟く無一郎を若干引いためで見る不死川。
こいつの笑顔ってあの胡蝶の妹専用だったのか?
「不死川さん、なんでこんなに可愛いの。」
「俺のこと可愛いって言ってるようにも聞こえるんだがァ。」
「え?そんなわけないじゃん。」
「そのくらい理解してるわ本気にすんじゃねェよ馬鹿野郎。」
時透に可愛いなんて言われてもこれっぽっちも嬉しくねぇよ…と不死川は呟くと店の中を見回した。
こんな朝っぱら簪屋に来る人なんて本当にまばらな為、店の中には時透と不死川しかいない状態。
なのでゆっくり簪を見て回ることができる。
「んー…やっぱりAは蝶があしらわれた物が好きなのかなぁ…。」
「だろうなァ。」
蝶屋敷の奴らは全員蝶の髪飾り付けてるからなぁ、と不死川は呟き辺りを見回す。
そしてそれらしき物を手に取ると無一郎にこれなんてどうだ?と差し出した。
「…不死川さんのセンスがありすぎて僕が惨めに見えてくるんだけど。」
「知らねェよ。」
不死川が無一郎に差し出したのは、小さな蝶の形をした硝子を散りばめた青色の簪だった。
華美と言うよりは控えめな美しさを放っていて、おっとりとしたAに似合いそうだな、と直感的に思うようなデザインだった。
「不死川さんが見つけたのはすごく腑に落ちないけどこれにしようかな…すっごく腑に落ちないけど。」
「好きにしろォ。」
腑に落ちないという言葉を狂ったように繰り返す無一郎を見て、不死川はほとほと呆れ返ったように溜め息をついた。
俺の知ってる時透じゃねぇよこいつ。
「じゃあこれ買ってくるね。」
「おォ。」
良かった…やっと買うもんが決まったのか…もう時透に付き合いはじめて三時間は経つぞ…。
不死川は再び溜め息をついて無一郎を振り返る。
今まで見たことのないくらい幸せそうな表情をする後輩を見て、思わず笑みが零れてしまったのは彼だけの秘密。
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ピクルス - 号泣 (2020年9月9日 14時) (レス) id: 2a7c012e78 (このIDを非表示/違反報告)
ピクルス - うわぁぁぁぁぁぁぁあん!無一郎くん死なないでぇぇぁえぇぇぇぁあぇぁあええ (2020年9月9日 14時) (レス) id: 2a7c012e78 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - わたぬきくん。さん» お祝いのお言葉ありがとうございます!そのように言って頂けて嬉しい限りでございます!最後までお付き合いくださりありがとうございました! (2020年8月30日 10時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
わたぬきくん。(プロフ) - テスト期間終わってきたら完結してた…ああもう号泣です!完結おめでとうございます!(泣) (2020年8月29日 14時) (レス) id: 9e97a6dad3 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - リムさん» お祝いのお言葉と応援のお言葉ありがとうございます!そのように言って頂けて光栄の極みでございます…!本当に感謝の限りです。最後までお付き合いくださりありがとうございました! (2020年8月27日 0時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白霞 | 作成日時:2020年7月23日 20時