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19話 ページ19

「これで大丈夫…!お風呂上がりにはこのお薬塗ってね。」



Aはそう言って無一郎に塗り薬を差し出した。



「この薬、前にも胡蝶さんから貰ったことあるけどすごく沁みたなぁ…。」



無一郎は苦い顔をしてAから受け取った薬の小瓶を天井の照明に透かして見る。

中に入っている液体がゆらゆらと波を立てた。



「確かにこのお薬すごく沁みるけど…ちゃんと塗ってね。約束。」



Aはすっと無一郎に小指を差し出した。

最初はぽかんとしていた無一郎だったが、それが“指切りしよう”という意思表示だと気がついた瞬間、ぶわりと全身に熱が駆け巡った。



__…触れたい。でも、触れて良いのか。僕は男で、この子に__好きな子に嘘をついて近づいてる人間なのに…。



無一郎にだって多少なり罪悪感はあった。彼女に嘘をついていることに対して。

好きな子に嘘をつくしかできない自分がどうしようもなく嫌だと感じる時がある。



無一郎が一人葛藤しているまさにその時。
Aの小指が無一郎の小指を絡め取った。



無一郎が顔をばっと上げると、目を細めて微笑みを湛えるAの姿がすぐそこにあった。



「…約束。」




__指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ます、指切った__。





半ば強引に指切りげんまんをしたAは、無一郎の指から自分の指を放すと包帯を棚にしまう為に椅子から立ち上がった。



「約束したからね…?塗らなかったら怒るからね。」

「…うん。」



__この子にはどうしたって敵わない。



心の底から惚れ込んだ女の子を前にするとあの霞柱でさえ、ただの十四の少年なのだから。





「(熱い…。)」



Aから触れられた小指はまだ熱を帯びていた。

その熱を逃がさぬよう、無一郎はきゅっと両手を握り合わせてAの後ろ姿を見つめていた。

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ピクルス - 号泣 (2020年9月9日 14時) (レス) id: 2a7c012e78 (このIDを非表示/違反報告)
ピクルス -  うわぁぁぁぁぁぁぁあん!無一郎くん死なないでぇぇぁえぇぇぇぁあぇぁあええ (2020年9月9日 14時) (レス) id: 2a7c012e78 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - わたぬきくん。さん» お祝いのお言葉ありがとうございます!そのように言って頂けて嬉しい限りでございます!最後までお付き合いくださりありがとうございました! (2020年8月30日 10時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
わたぬきくん。(プロフ) - テスト期間終わってきたら完結してた…ああもう号泣です!完結おめでとうございます!(泣) (2020年8月29日 14時) (レス) id: 9e97a6dad3 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - リムさん» お祝いのお言葉と応援のお言葉ありがとうございます!そのように言って頂けて光栄の極みでございます…!本当に感謝の限りです。最後までお付き合いくださりありがとうございました! (2020年8月27日 0時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白霞 | 作成日時:2020年7月23日 20時

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