【完結】ハナミズキ２(実況者ポッキー)

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早く日常に戻りたい
私にとっての当たり前の日々を過ごしていれば
大雅の事は一時の夢だったんだって
そんな風に思える日がきっとくるから

ぎゅぅ、と締め付ける胸を抑えながらスマホからYouTubeを消す
そのまま大雅の連絡先を…消した

帰ってきた姉が心配しない様にタオルを熱くして目にあてて腫れが収まるのを待つ

もうお休みもおしまい
明日からお店にも出よう
それが私の日常だから

きっと大雅を見かけたってもう大丈夫なんだって
そう思わなきゃ
いや、そうならなきゃ


だから、


「これで、終わり」


ケリをつけるように呟いた
もう大丈夫って言ったでしょう

だから


「っ…ふ」


泣くのも、今日まで







「こんにちは〜」


あれから数日が経った
幸いなことに大雅の姿を見る事はなくて
もしかしたら奥に引っ込んでいる時に前の道を通っているかもしれない
それでも私はその姿を見ていないから、それが救いだった

お昼過ぎ

近所の人や年配の方は優しく挨拶してくれるから
今もお店の前
背後に立った気配に振り返りながら挨拶をする
それはお客さんでもそうでなくても関係ないから

正直まだ笑える気分になんてなれなかったけど
日常に戻っていく感覚を掴むため、そして仕事だから
自分にそう言い聞かせながら笑顔を張り付ける

すると、そこにいたのは


「あ…ワタナベさん？」

「うわ、ひでぇ顔」


見上げたその人は、ワタナベマホトさん
以前私を慰めてくれた人だった


「失礼すぎません？」

「"無理して笑ってますー"って顔に思いっきり出して接客してるやつのが失礼だと思うけど」

「…相変わらずですね」


何とも辛辣、全く歯に衣着せない物言い
…だけど本当によく見ている
どうして気付くのか、純粋にすごいと思う

その辛辣さに皮肉で返す
少しだけ口角をあげて言えばワタナベさんも同じように笑った

そして、本題


「また買いにきてくれたんですか？」

「いや、ただの冷やかし」


たまたま通りかかっただけだから

なんてあっけらかんと言う
たまたま通りかかった所に私の姿が見えて寄ってくれたみたいで
何とも複雑な気分になる

だけどそれも優しさなのかもしれない
あの日限りのお節介…なんて言ったら失礼だけど
そういう事じゃなかったんだと思えば純粋に嬉しいと思えた


「ワタナベさん、あの」

「マホト」

「え？」

「マホトでいい」


何か違和感がすごいから
そう言って彼はまた笑う

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