【完結】ハナミズキ２(実況者ポッキー)

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見上げれば、去っていった彼女の背中をまだ見つめている大雅の顔
その表情は見ていられないくらい

(大雅に、こんな顔させるひと)

もう、分かっている
あの人なんでしょう？
だって私、一目だけど、見かけた事もあったし

大雅の、好きな人

あの人を想って花束を買うくらいに
そして叶わなかった、そんな人

(今も…ずっと、大雅の中に居続けてる)

大雅は終わったと言っていたけど
この顔で、何が終わったっていうの

今も、あの時も

思い出す
"店員の私と"花を選んでいたあの時の
幸せそうな、愛しむような、そんな深い瞳

(…かなうわけ、ない)

そこに隙はある？
答えはきっとＮＯ

だから彼は私を拒絶して、そして今も避けている
それは心に黒く、重くのしかかるよう

出ている答えに、それでも傍にいられるのならと恋心を否定しないまましがみついて
みっともなく泣いて縋る私はなんて醜いんだろう
自覚して、絶望する
こんなのストーカーも同然で、嫌われていくだけなのに
私は好きな人を困らせたいの？


さっきまであった熱が一気に冷めていく感覚
体に力が入らなくて

友達？
何それ、おこがましい
いい加減気付いてよ私


迷惑、なんだって


「…っ」


ぽつり、落ちたのは涙じゃなくて
大雅もはっと気づいたような反応
そして空を見上げた


「雨」


呟いたその言葉の通り
ぽつりぽつりとゆっくりだったそれは徐々に強さを増していって
まるで私の涙を隠すように、強まった


「っ！Aちゃん、こっち…！」


その強さに慌てて、大雅は振り返って私の手を取った
さっきまで固まっていたのが嘘のように

それは優しさ
雨に濡れない様に移動しようと手を引いてくれる
優しいの、だから、わかる


「っ、離して！」


頭で理解していても気持ちは追い付いていないようで
思ったよりも強くその手をはらってしまった
それは勢いよく

大雅は驚いてそのまま私を見た

大きくなってしまった声のせいで乱れた呼吸を整える様に浅く息を吸って
そして一度目を瞑って吐いた
理解した事をしっかり自分に言い聞かせ

静かに大雅を見上げて


「ごめんなさい…大丈夫だから…もう、大丈夫」


伝わってほしい、これで
私にもうそのつもりはないんだって
もう困らせない、その方法もやっと理解したんだって

雨のおかげで涙は隠れる

それがとてもありがたくて
私はしっかりとその目を見て言えた

ありがとう、さよなら、大好きでした

…そんな困らせてしまう言葉は吐き出せない
崩れてしまいそうな表情をぐっと堪えて
そして私は落ちたそれを拾って背を向けた

本当のさよならを心に誓って

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